2003 Fiscal Year Annual Research Report
岩石風化における亀裂ネットワーク変化のマルチフラクタル解析による評価
Project/Area Number |
03J09960
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柏谷 公希 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 風化 / 斑れい岩 / 花崗岩 / マルチフラクタル / 亀裂 |
Research Abstract |
風化した斑糲岩と花崗岩をそれぞれ福島県小野町と茨城県笠間市から採取した。試料数は10個ずつで、新鮮なものから風化が進行したものまでできるだけ幅広い風化程度の試料をサンプリングした。斑糲岩試料は角閃石斑糲岩で、新鮮な状態でも構成鉱物の緑泥石化が顕著に見られることが特徴的である。花崗岩試料はいわゆる稲田花崗岩で、黒雲母花崗岩である。 採取した試料の空隙に関する物性値を得るため、浸水法による比重・有効間隙率測定を行った。斑糲岩試料では肉眼的に最も新鮮なものから風化が進んだものまで見かけの強制乾燥状態比重で3.06〜2.83、有効間隙率で0.57%〜4.45%の値を示す。花崗岩では同様に見かけ比重は2.62〜2.55、有効間隙率は0.77%〜3.00%という結果が得られた。 風化による岩石試料の鉱物学的・化学的変化のキャラクタリゼーションのために、以下のような検討を行っている。薄片と研磨薄片の偏光顕微鏡観察から岩石組織と風化による影響の記載を行った。また、全岩不定方位試料と各種処理(未処理、エチレングリコール処理、100℃・400℃加熱処理、Mg-グリセロール処理)を施した定方位試料のX線回折分析から詳細な鉱物組成を得た。さらに、X線蛍光分析で化学組成を求め、特に大型試料については現在EPMAによる組成分析を行っている。風化した試料では粘土鉱物の生成が認められ、化学組成のデータを基に化学的風化指標(WIなど)を算出した。 風化過程で生じる亀裂パターンの抽出と解析のために、大型試料の蛍光剤入り薄片を作成した。蛍光剤入り薄片は試料の異方性を考慮できるように直交方向で各試料2枚ずつ作成した。また、亀裂抽出は紫外線の照射で空隙部分の蛍光剤を発光させる蛍光法で行っている。購入した画像解析アプリケーションへのマルチフラクタル解析マクロの移植を現在進めており、完成し次第解析に移る予定である。
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