2004 Fiscal Year Annual Research Report
岩石風化における亀裂ネットワーク変化のマルチフラクタル解析による評価
Project/Area Number |
03J09960
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柏谷 公希 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 風化作用 / 亀裂 / マルチフラクタル / 花崗岩 / 花崗閃緑岩 / 斑糲岩 |
Research Abstract |
昨年度採取した風化花崗岩と風化斑糲岩を検討試料として亀裂パターンのマルチフラクタル解析を行うとともに、偏光顕微鏡を用いた岩石組織の記載、EPMAによる鉱物変質評価とモード測定を行った。さらに、一軸圧縮試験、弾性波速度測定を行った。また、北海道大成町より花崗閃緑岩を採取し、現在花崗岩試料、斑糲岩試料と同様の分析を進めている。 花崗岩試料は主に石英、Na斜長石、カリ長石、黒雲母からなり、わずかな角閃石と緑泥石を含む。蛍光剤入り薄片の顕微鏡観察では粒界亀裂や、長石および石英中の粒内亀裂、黒雲母の劈開などが認められ、風化の進行に伴って長石粒子内部のマイクロクラックが著しく増加する。一方、斑糲岩試料はCa斜長石、緑色・褐色普通角閃石、カミングトン角閃石、黒雲母、磁鉄鉱、イルメナイト、FeMg緑泥石およびFe緑泥石からなり、花崗岩試料と同様、風化による不連続構造の発生は斜長石粒子で顕著である。 マルチフラクタル解析では、蛍光顕微鏡を用いて蛍光法で亀裂画像を撮影し、各薄片それぞれ25枚ずつ撮影した亀裂画像を貼り合わせた画像の解析を行った。これら解析用画像は各薄片を代表する仮想的な亀裂パターンと考えることができる。また、各画像の並べ方が解析結果に影響を与えないように解析用マクロのボックスサイズが設定されている。 マルチフラクタル解析で得られた一般化次元スペクトルでは、強度の大きい試料の方がq<0で大きく、q>0で小さな一般化次元を示したり、q<0およびq>0の領域で一般化次元スペクトルの大小関係が逆転する例が認められた。これらは解析用画像が亀裂パターン以外の情報(亀裂部分以外に面状に散乱する蛍光や薄片深部で発生した蛍光など)を含んでいることや亀裂解析で評価しにくい弱構造(例えば癒合した亀裂)の存在などに起因していると考えられ、今後は焦点以外から発生する蛍光を除去できる共焦点レーザー顕微鏡を使用して亀裂画像の撮影を行う。
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Research Products
(1 results)