2004 Fiscal Year Annual Research Report
蚊に殺虫活性を有する新規Bt菌株の分子生物学的解析
Project/Area Number |
03J10005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 岳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Bacillus thuringiensis / 分子生物学 / 蚊 / 生物農薬 |
Research Abstract |
Bacillus thuringiensis subsp. aizawai Bunl-14株よりクローニングしたcry39A,cry40A及びcry40Bの各遺伝子産物の中で、イエカ及びハマダラカに対して殺虫活性を示したCry39Aについて、ネッタイシマカに対する殺虫活性試験を行い、強い殺虫活性を持つことを明らかにした。双翅目昆虫における活性化トキシンに対するレセプター分子の同定に向け、ビオチン標識した活性化Cry39Aトキシンを用いて、イエカ、ハマダラカ及びネッタイシマカの中腸上皮細胞刷子縁膜小胞(BBMV)に対するリガンドブロッティングアッセイを行った。その結果、蚊の種類によりCry39Aトキシン結合分子の数及び分子量に大きな違いが認められた。これらのCry39Aトキシン結合分子を同定するため、可溶化したネッタイシマカ及びハマダラカBBMVタンパク質を等電点の違いにより分画し、各分画に対してリガンドブロッティングアッセイを行なったところ、ネッタイシマカBBMVにおいては、pI 4.6-5.4及びpI 6.2-7.0の画分に、ハマダラカBBMVにおいてはpI 5.4-6.2の画分にCry39Aトキシン結合タンパク質が含まれることが明らかになった。現在、MALDI-TOF MSやLC/MSを用いてこれらのCry39Aトキシン結合タンパク質の同定を行なっている。 また、cry39A遺伝子の下流に存在するorf2遺伝子がCry39Aの結晶化に必須であることを明らかにし、orf2遺伝子産物は転写レベルで結晶化に関与しているのではなく、Cry39Aと直接相互作用することで結晶化に関与していることを明らかにした。そして一連のORF2ディレーションミュータントを用いたプルダウンアッセイにより両者の相互作用を確認すると共に、ORF2の相互作用必須領域及び結晶化必須領域を明らかにした。 以上の研究成果を昨年3月に岩手大学にて開催された日本蚕糸学会第74回学術講演会及び昨年9月に福岡県工業技術センターにて開催された第10回BT研究会において口頭発表した。
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Research Products
(1 results)