2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダニ唾液腺由来タンパク質を用いたダニの吸血を阻害する抗ダニワクチンの開発
Project/Area Number |
03J10011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 明子 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 節足動物媒介性原 / ワクチン / Trypanosomes |
Research Abstract |
ダニワクチンは、ダニの吸血を阻害することによって、吸血に伴い媒介される病原体の伝播をも阻止しようとするものである。病原体伝播を効率的に阻止するためには、ワクチン標的分子として病原体との相互作用を持つものを共に用いるのが理想的である。そこで節足動物媒介性病原体のうち、もっともワクチン開発が困難とされている原虫について着目し研究をおこなった。媒介節足動物体内での原虫の生活環を考えると、中腸内での原虫-宿主間の相互作用が最も大きいと考えられる。そこで中腸内での環境を擬似的にin vitroにおいて再現し、原虫にどういった変化が発生するか検討を行った。節足動物媒介性原虫については本研究室において維持されていたTrypanosoma bruceiおよびT.evansiを用いた。結果、原虫表面抗原の変化は認められたが、従来報告されたようなレクチンとの相互作用は認められなかったが、両原虫に昆虫型誘導を行った際、表面抗原の発現に差異があり、それがTrypanosoma bruceiおよびevansi原虫の節足動物媒介伝播様式の重要な要素となっていることが推測された。今後、他の要因の存在についても研究を行ってゆく予定である。 様々な節足動物媒介性原虫の昆虫内ステージにおいて、アポトーシスの発生が確認されている。そこで血流型および、昆虫体内での血流型から昆虫型ステージへの移行途中においてアポトーシスが発生するのかどうかを検討した。結果、血流型において培養密度依存的にアポトーシスが発生していることを確認した。またTrypanosome alternative oxidase(TAO)がアポトーシスの発生に抑制的に作用していること、そしてTAO過剰発現株は薬剤耐性を持つようになったことを確認した。今後TAOによるアポトーシス発生の抑制メカニズムについての研究を行っていく予定である。
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