2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 麻希 北海道大学, 大学院・理学研究科・特別研究員, DC1
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Keywords | ハロロドプシン / クロライドポンプ / 光駆動イオンポンプ / 膜たんぱく質 / 大腸菌 / 変異体 |
Research Abstract |
ハロロドプシン(hR)は高度好塩菌の細胞膜に存在する光駆動型クロライドポンプである。HRで研究が比較的研究が進んでいるのはsalinarum HRとpharaonis HRで、前者は結晶構造が報告された。一次構造の相同性は66%でこれらの機能比較から新たな知見が得られるものと予想できる。shRとphRは細胞外側にArg(i)-Thr(i+3)が存在し、細胞質側にArg/Lys(i)-Thr(i+3)が存在している。これらのシッフ塩基近傍のアミノ酸残基はクロライドの取り込みや放出に関わっていることが予想される。そこで、phRのこれらの残基に変異を導入し、基底、光励起状態でのイオン結合や輸送に及ぼす効果について調べた。変異体として、K215R/Q、T218V、R123K/H、T126Vを作製した。吸収スペクトルでは、クロライド非存在下においてR123変異体の最大吸収波長が30nmブルーシフトした。基底状態ではクロライドに対する親和性は、放出側の変異体(K215R/Q、T218V)では野生型とほぼ同じであったが、取り込み側の変異体(R123K、T126V)では、1オーダー低下した。野生型と変異体のフラッシュフォトリス解析から光励起状態の中間体を同定した。野生型、R123K、K215Q、T218Vは逐次反応であったが、K215Rは分岐反応を考慮しなければならなかった。以上のphRの実験結果から、1.Arg-123とThr-126はクロモフォア近傍のクロライド結合サイトの安定化に重要で、Arg-123は色変化に関わっている、2.K215RはshR化変異であるが、異常フォトサイクルを示すため、Lys-215はshRとは異なったアニオン放出機構に関与していることが示唆された。これらの成果の一部は2004年度日本生物物理学会で発表した。
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Research Products
(1 results)