2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10038
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
望月 麻友美 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 基底膜 / ラミニン / ペプチド / キトサン / インテグリン / シンデカン |
Research Abstract |
ラミニン活性ペプチドをキトサン(多糖類)の膜に固定化させたペプチド-キトサン膜を「人工基底膜」として開発することを目的に研究を遂行中である。キトサン膜にA99(AGTFALRGDNPQG),AG73(RKRLQVQLSIRT)など数種類のラミニン由来細胞接着活性ペプチドを化学的に固定化し、その生物活性を評価した。その結果、活性ペプチドがキトサン膜に化学的に固定化されることでその活性が増強されることがわかった。また、A99-キトサン膜はインテグリン、AG73-キトサン膜はシンデカンを介して細胞接着をすることが解明できた。このように細胞膜上の受容体に各々のペプチドが特異的に結合することにより、膜に細胞特異的な作用を付加させることができた。次に、キトサン膜に複数のペプチドを固定化させたペプチド-キトサン膜を作成したところ、1種類のみのペプチドを固定化させたものに比べ細胞接着に顕著な増強効果がみられた。またペプチドを組み合わせることにより細胞形態をコントロールできることを見いだした。これらの研究結果は、Mochizukiら、FASEB J.17:875-877(2003)などに報告した。さらにこの論文中の細胞形態の写真は、FASEB.Jの2003年5月号の表紙を飾ることができた。現在、A99ペプチドなどの細胞膜上のインテグリンに特異的に作用するペプチドを固定化させた数種類の膜を作成して、それらの膜上で細胞形態やそれに伴う細胞内シグナルタンパクのリン酸化の測定中である。 また、動物を用いたin vivo実験に向けて、毒性の少ないクロロアセチル基を導入したクロロアセチルキトサン膜を開発した。現在このペプチド-キトサン膜を用いて受傷部に直接被覆する方法と、あらかじめ膜上に細胞を接着させてから被覆する方法を用いてin vivoでの創傷治癒効果を検討中である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Mayumi Mochizuki: "Laminin-1 peptide-conjugated chitosan membranes as a novel approach for cell engineering"The FASEB Journal. 17. 875-877 (2003)
-
[Publications] 望月麻友美: "細胞接着ペプチドを固定化したキトサン膜の生物活性"接着. 47・11. 13-20 (2003)