2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
望月 麻友美 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 基底膜 / ラミニン / ペプチド / キトサン / インテグリン / シンデカン |
Research Abstract |
ラミニン活性ペプチドをキトサン(多糖類)の膜に固定化させたペプチド-キトサン膜を「人工基底膜」として開発することを目的に研究を遂行中である。本年度は、シンデカンあるいはインテグリンに特異的に結合する2種類の機能ペプチドA99(AGTFALRGDNPQG)、AG73(RKRLQVQLSIRT)を組み合わせてキトサン膜に結合させた膜を用いて細胞の接着や神経突起伸長促進作用を検討し、シンデカンとインテグリンの相互作用を検討した。その結果レセプターの異なるペプチドを組み合わせてキトサン膜に結合することにより効率的に細胞に作用できることが明らかになった。さらにAG73ペプチドを固定化したペプチド-キトサン膜を用いてin vivoで効果を検討した。ペプチド-キトサン膜を直接マウスに処置することにより、受傷部への表皮細胞の遊走促進がみられたことから創傷治癒効果が確認された。また、ペプチド-キトサン膜にヒト表皮細胞を接着させて、ヌードマウスに移植することにより、ヒト表皮細胞をマウスに移植できることがわかった。さらに、移植されたヒト細胞はマウス筋膜上で分化し角化を進行していることがをすることがわかった。これらの実験結果は「蛋白核酸酵素」2005年4月号にミニレビュー「人工基底膜の創製-ラミニンペプチドの新たなチャレンジ-」として掲載予定である。 現在、ラミニンやフィプロネクチン、コラーゲン、スロンボスポンジンなどの細胞外マトリックス構成成分から同定されたインテグリンに特異的に作用するペプチドを十数種類合成し、それらを固定化させた膜を作成し、細胞接着活性を測定中である。細胞形態や細胞接着に関わるインテグリンの種類を同定し、インテグリンタイプが異なることで引き起こされる細胞応答の違いを評価している。これらの研究結果は、我々が同定したラミニン由来の機能ペプチドを化学的にキトサン膜に結合することにより、基底膜様の作用をもったペプチドマトリックスが作成できることを示すものである。
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Research Products
(1 results)