2005 Fiscal Year Annual Research Report
ドム語(パプア・ニューギニア)とその周邉の諸言語の調査・研究
Project/Area Number |
03J10049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千田 俊太郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | パプア諸語 / ドム語 / パプア・ニューギニア / 記述言語学 |
Research Abstract |
動名詞、動詞連続、節連鎖、および指示詞や人称といった直示にかかわる形式の用法についてデータの整理と分析を行った。その結果、1)述語複合体内部に配置されると考えられる無標の名詞項の性質の記述が可能になった。2)動詞連続が、意味タイプ別に異なる振る舞いを示すこと、その振る舞いを踏まえることで動詞連続内部の配列の説明が可能になることが明らかになった。3)節連鎖が述語の法の違いによって結びつきの強さの程度にも違いが出ることがわかった。4)直示を腫瘍なはたらきとする指示詞が非直示的に用いられる場合の用法や、他の場所表現との相関の記述ができた。5)動詞に示される主語の人称・数が人称詞との一致ではないこと、談話レベルで決められることが明らかになった。 以前からの研究に上記の統語法の分析を加え、一貫した方針によって全体を書き下ろしたドム語文法を論文として提出した("A Grammar of the Dom language")。 その他、つぎの研究発表がある。1)ドム語は表記の伝統のない言語であるが、ドム人のほぼすべてが第二言語として話すトク・ピシンにはある程度確立された標準と、それに基づいた多くの出版物がある。ドム人の話す、ドム語に強く影響されたトク・ピシンとその表記にまつわる問題点と表記に関する一般論をまとめた(「トク・ピシンの表記に關する考察」)。2)ドム語のおかれた社会的背景ともっとも主要な言語特徴をまとめた("La lingvo de la popolo dom en Papuo-Novgvineo")。3)動名詞や動詞連続のような構成を擬似的に作り出すなど、ドム語の形式的な「嗜好」について「ことばが分ける二つ、組合せる二つ」として2月11日に日本言語学会主催シンポジウムで発表した。
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Research Products
(3 results)