2004 Fiscal Year Annual Research Report
過冷却液体のガラス転移における長距離密度揺らぎの時空間スケーリング
Project/Area Number |
03J10060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 美加 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 過冷却液体 / ガラス転移 / 光散乱 / 相関長 / スケーリング / 時空間相関 / 密度揺らぎ |
Research Abstract |
単成分のガラス形成物質において、理論的予測よりもはるかに大きいレイリー散乱強度が観測され、温度の低下とともに散乱強度が増大することが知られている。このことから、温度の低下に伴って増大する空間スケールが存在すると考えられており、Fischer clusterと呼ばれている。この散乱強度の波数依存性はオルンシュタイン・ゼルニケ式に従い、空間スケールの値は数百ナノメーター程度と極めて大きい。一方、Fischer clusterは、一般に密度揺らぎの緩和とされている構造緩和よりも数桁も遅い時間スケールをもつ。このことは、単成分物質にあっても、熱揺らぎとは別の起源をもつ密度揺らぎが存在することを示唆する。 ところで、液体-液体相転移が報告されている亜りん酸トリフェニル(TPP : triphenyl phosphite:融点Tm=297K、ガラス転移温度Tg=205K)においても、Fischer clusterと類似した現象が観測されることがわかっている。 そこで、Fischer clusterと液体-液体相転移との関係に着目して、TPPにおいて動的・静的光散乱を行った。その結果、Fischer clusterの空間スケールは、TPPの液体-液体相転移がスピノーダル型相転移を起こす際のスピノーダル温度付近で急激に増大することがわかった。このことは、Fischer clusterが液体-液体相転移に伴う臨界ゆらぎであることを示唆するものである。
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Research Products
(1 results)