2007 Fiscal Year Annual Research Report
1分子操作によるF1-ATPase回転メカニズムの解明
Project/Area Number |
03J10079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 陽子 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 1分子操作 / F1-ATPase / モーターたんぱく質 / マイクロ加工技術 |
Research Abstract |
回転モーターたんぱく質であるF_1-ATPase(以下F_1)を1分子操作することにより、ATP合成酵素の化学反応と力学応答の共役機構を明らかにすることが本研究の目的である。これまでにF_1の回転子γサブユニットを顕微鏡下で磁気ピンセットによって操作することにより、ATP加水分解方向に回転させた場合のF_1がADPを解離する際のメカエズムを明らかにした。(Proc.Natl.Acad.Scie.U.S.A.102,4288(2005))また、同一の1を分子を様々な条件下で観察し力学的な操作を行うためには、システム化された溶液交換の系が不可欠である。そこで、マイクロ加工技術を利用した高速微量溶液交換システムを作製した。実際にF_1のアジ化ナトリウムによる阻害様式を明らかにすることができた。(Journal of Applied Physics,(in submitted)) 最終年度は、ADPにより不活性化したF_1(ADP阻害)をATP合成方向に回転させたときの活性化のメカニズムについて解析した。溶液中の基質組成を様々に変えて、γをATP合成方向に操作し、その応答を観察すると、溶液中にADPとリン酸が存在する場合に高確率で活性化が起こることがわかった。この結果は、ATP合成方向にγを回転させると、F_1はATPを合成することによって活性化することを示唆する。また、活性化に必要な回転角度はATP加水分解方向(30度以上で高活性化)に比べて、ずっと大きかった(150度以上で高活性化)。これは、F_1に対するヌクレオチドの結合の強さがγの向きによって異なることを示す非常に重要な見地である。
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Research Products
(5 results)