2003 Fiscal Year Annual Research Report
レトロポゾン転移機構の解析と遺伝子治療ベクターへの応用
Project/Area Number |
03J10085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
濱田 光浩 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | レトロトランスポゾン / ゲノム / 転移因子 / カイコ / テロメア / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
レトロポゾンとはRNAを転移の中間体とする転移因子の総称である。ゲノムプロジェクトの進展により、LINE(long interspersed elements)と呼ばれるレトロポゾンがヒトゲノムの21%を占める事が分かった。L1をはじめとする多くのLINEは挿入配列の特異性は低く、ほぼランダムにゲノム中に挿入されるが、カイコのTRAS/SARTファミリーと呼ばれているLINEはテロメアリピート配列特異的に挿入され、染色体末端の保護に役立っている可能性が示唆されている。近年、バキュロウイルスを用いて昆虫細胞で発現させたTRAS/SARTのテロメア配列への転移をTRAS/SART特異的なプライマーとテロメア配列のプライマーを用いてPCRで検出する実験系が構築され、LINEの転移機構研究のよいモデルシステムになると期待されている。本研究の目的はこの転移系を応用して、これまで転移を検出できなかったSINEの転移機構を解明することと、LINEの配列特異的挿入機構を利用した、新しい遺伝子治療ベクターの構築である。 今年度はSINE転移検出の為の各種コンストラクトの作成、組換え体バキュロウイルスの作成を行った。また、SART1の転移を詳細に調べるためにin vitroの転移系を構築した。バキュウロウイルス遺伝子発現系を用いてSART1を発現するSf9細胞より、His-tagを利用して、SART1タンパク質を精製し、部位特異的逆転写酵素の活性の検出を試みた。精製したSART1タンパク質RNA複合体はin vitroにおいて、転移活性を有し、カイコテロメア配列に転移が確認された。また、制限酵素で切断した箇所にも効率よく転移することがわかった。さらに、ヒトテロメア配列においても転移可能であることが確認された。
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