2004 Fiscal Year Annual Research Report
十八世紀英国政治思想史におけるアテナイとローマ:急進主義と啓蒙の対比を中心に
Project/Area Number |
03J10086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
犬塚 元 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 人文主義 / 政治学史 / スパルタ |
Research Abstract |
本研究は、アテナイやローマなどの古代政治社会をめぐる理解の歴史的変転を追跡することを糸口にして、18世紀英国における政治学の転換を解明するものである。この時期に隆盛したローマ史論を分析した昨年度に続き、本2004年度は、「保守的啓蒙」と称される文明社会論・政治経済学を分析の対象とした。 1 本年度はその分析も踏まえて、デイヴィッド・ヒュームの政治学について、研究成果を単著として公刊した(本年度夏の在外研究・史料調査の成果もこの著作に組み込まれた)。従来、文明社会論・政治経済学の系譜に属するとされてきたヒュームは、これまでそれゆえに、古代世界を批判して近代世界を称揚した近代派の思想家として理解されてきた。しかし、本研究の視点を採用して古代政治社会をめぐる理解に着目した結果、ヒュームはギリシアの連邦制やローマ共和政の混合政体を肯定的に理解しており、その政治学は総体として古代以来の政治学の問題設定を継承するものであったことが解明された。この点は別の観点から捉えるならば、この時代における古典的共和主義をどのように理解するか、という点と関連する。特にこの点について、ヒュームが共和政ローマの政治機構に着目してジェイムズ・ハリントンの思想を継承したことを踏まえて、ヒュームと共和主義との関連、および共和主義思想の定義をめぐって論考を執筆した(入稿済)。 2 一方、ヒューム以降の世紀後半の「保守的啓蒙」については、さしあたりエドマンド・バークについて論考を執筆した(入稿済)。
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Research Products
(5 results)