2003 Fiscal Year Annual Research Report
帝政ロシア内務省と国内統治改革-内相プレーヴェ期を中心として
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03J10127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草野 佳矢子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ロシア史 / 地方自治 / 行政改革 |
Research Abstract |
平成4月から9月にかけて、論文「20世紀初頭ロシアの地方自治と国家-ペテルブルク市自治行政改革」(論文集『ヨーロッパの分化と統合-国家・民族・社会の史的考察』に収録)の執筆にあたった。この論文では、サンクト・ペテルブルク市の都市自治体に関する法律改訂問題を扱った。この法改訂は、首都ペテルブルクの自治体の自立性を抑制し、より強力な国家統制体制に市自治体を組み込むことを意図した内務省のイニチアティヴで行われた。この改革は、プレーヴェ内相期の主要な変革の一つであり、当時の内務省の地方自治政策と国内統治全般にわたる内務省の権限拡大構想が反映されている。しかし、法改訂の過程で、政府内では、こうした自治体に対する政府の監督の強化を過剰だとする意見が多数を占め、内務省案は修正された。結果として、政府と都市自治体との関係は、ほぼ従来どおりに留まった。この政府内の対立は、国内統治のあり方そのものに関わる立場の相違を象徴している。また、この改革に対する世論の反応にも、当時の地方自治をめぐる政府と社会の対立の構図が映し出された。首都の都市自治をめぐる以上の状況は、20世紀初頭において、ロシアが抜本的な改革を行い得ない状況にあったことを示しているといえる。なお、この論文の内容については、早稲田大学ヨーロッパ文明史研究所研究会において、6月に報告した。 また、9月末から10月にかけて、ロシアのサンクト・ペテルブルクにおいて、まず、ロシア国立歴史文書館で史料収集を行った。主に内務省、国家評議会のフォントから、農村警察の改革や、内務省の機構改革、農民統治政策に関する文書を筆記またはコピーした。また国立図書館で、内務省の政策や地方自治体の活動に関する革命前の定期刊行物や文献、回想録、また最近の研究文献を閲覧、収集した。 10月から平成16年2月にかけては、西部ゼムストヴォ導入問題に関する文献・アルヒーフ史料の分析や農村警察改革に関する史料分析を進めた。 3月には、再びペテルブルクの文書館、図書館で史料・文献収集を行った。文書館では、特に西部ゼムストヴォ導入問題、農民統治政策、内務省機構改革、地方行政改革に関する史料を引き続き閲覧・収集し、図書館では引き続き、全般的に文献を収集した。
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Research Products
(1 results)