2003 Fiscal Year Annual Research Report
人類史的コンテクストにおけるドストエフスキーの人間理解
Project/Area Number |
03J10131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 銀河 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ロシア文学 / ドストエフスキー |
Research Abstract |
1、ロシア向けの論文「日本におけるドストエフスキーの受容・研究」を毎回話題を絞りながらシリーズとして続けることに決め、その第1回として「日本人の宗教意識とドストエフスキー」の草稿(ロシア語)を用意し、2003年9.10月のロシア出張の際、ロシア人の日本研究者、ドストエフスキー研究者数人に渡し、意見交換を行った。日本研究者からはロシアにおける日本文化研究や仏教用語のロシア語訳を確かめるための文献リストを紹介していただいた。また、論文の依頼主であるドストエフスキー研究者からは、「あなたのアプローチに満足している」「完成した段階で我々の研究誌に掲載させてもらう」との評価を受けた。 2、『ドストエーフスキイ広場』に掲載予定の論文「ラスコーリニコフの微笑」は以前、ロシアの学会・雑誌で発表したテーマをさらに掘り下げ、拡充した日本語版である。ラスコーリニコフの「子供のような微笑」という重要な場面に着目しつつもその意味付けにおいては正鵠を射ているとは言い難い小林秀雄の論稿の批判を通し、私の解釈を示した。現在ロシア語で執筆中の『ドストエフスキーにおける「印象」の語学』の重要な一章となるものである。 3、論文「ドストエフスキーにおける「個人」の問題」(仮題)のうちの一章「切り離された個」を現在執筆中。また、この論文ではバルザック著『ウジェニー・グランデ』のドストエフスキーによるロシア語訳について論じる予定であるが、比較の材料とするため、この作品のロシア語訳として最も多く出回っているЮ.ヴェルホフスキー訳を2003年9.10月のロシア渡航の際に入手してきた。
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Research Products
(1 results)