2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10143
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中野 知洋 大阪教育大学, 教育学部, 講師
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Keywords | 沈従文 / 日中戦争 / 昆明 |
Research Abstract |
採用期間は4月1日より9月30日というわずか半年間であったが、先に提出した研究計画に沿って、学期中(授業期間中)は主に受け入れ機関である東京大学所蔵の中国文学関係資料を対象に調査を行い、必要に応じて随時大阪・京都・仙台等国内各機関の調査に赴くというかたちで研究活動を行った。本来ならば5月より7月の間に一ヶ月程度の中国調査を実施する予定であったが、SARSの流行という特殊事情のためこれが不可能となり、大規模な調査は夏休みに延期せざるを得なかったためである。 したがって実際に中国に調査旅行に赴くことができたのは、9月5日より15日までという比較的短期間にとどまった。これはSARSの制圧宣言が出されたのを見極める必要と、また翌月より採用が内定していた大阪教育大学への引っ越しその他の準備の必要により日程の調整を行った結果である。9月の調査旅行では、北京及び上海において重慶・桂林・昆明という中国内陸都市において1930年代後半から40年代前半という抗日戦争・内戦期にかけて刊行された雑誌・新聞の所在の有無を調査した。その結果新たに得ることができた知見や発見された資料はもとより少なくないものの、重慶等内陸都市そのものに対する調査に踏み切ることができずに夏の調査旅行を終了したことは不本意であった。 現在のところ研究成果は、公刊論文1本、口頭発表2回である。とくに前者の内容は、1930年代前半の沈従文の南北分断を縦断するかたちでの活動状況を解明するというものであり、北京を中心に活動していた沈従文という小説家の、南方とのつながりが解明できたと考える。これもまた私の提出した研究計画の一部に含まれるものではあるが、上記の事由によりそれ以前より継続してきた研究活動の成果に跨る部分が大きいことを申し述べておく。
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Research Products
(1 results)