2004 Fiscal Year Annual Research Report
極東アジアにおける北方先史社会文化の構造についての考古学的研究
Project/Area Number |
03J10146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 正宏 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゴールィムィス1遺跡 / アムール河口部 / 初期鉄器時代 / サハリン / 新石器時代 / 極東ロシア / 続縄文文化 / オホーツク文化 |
Research Abstract |
紀元前2千年紀〜紀元後800年の極東アジアにおける北方先史社会文化の構造的研究のため,北日本と極東ロシアの考古学的諸様相を現地調査と関連データの集成・検討によって総合的に点検した。具体的な調査・研究は以下の通りである。 (1)昨年度実施したロシアハバロフスク州ゴールィムィス1遺跡の発掘調査で出土した新石器〜初期鉄器時代の遺物の整理をハバロフスク州立郷土誌博物館でおこない,データ・ベースを作成した。また,文献によって関連する資料を網羅的に収集し,アムール下流域とアムール河口部周辺における当該期の社会文化的様相を極東アジアのなかで位置づけた。とくに土器資料の編年的考察によって,アムール下流域とアムール河口部周辺でウリル文化相当期にことなった文化変遷があることを明らかにした。 (2)サハリンの新石器文化にみられる対外交渉の痕跡を通時的にまとめ,北海道・アムール方面との関係を明らかにし,先史時代の極東地域におけるサハリン島の位置づけについて検討した。これによって,環オホーツク海に広がったオホーツク文化の形成が新石器時代後期以降の顕著な接触の構図にもとづいて自然にはじまったことを明らかにした。またあわせて,北海道東北部の続縄文期初頭の社会構造についてまとめた。 (3)昨年度から引き続き,青森県むつ市江豚沢遺跡において弥生時代前期(続縄文期初頭)の住居址の発掘をおこない,北海道の続縄文文化からの各種文化要素の受容過程を追った。同時に,東北日本における「北方系遺物」のデータを補強し,関連資料の蓄積をはかった。 (4)極東ロシアにおける「初期鉄器時代」の文化編年について,中国などからの鉄器普及過程と在地系文化の伝統の残り方に注目して考察した。その結果,ハバロフスク州の初期鉄器時代とよばれる時期の文化は鉄器文化とはさほど関係しない変遷のなかで説明されるべきであることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)