2005 Fiscal Year Annual Research Report
応用一般均衡モデルによる環境政策の社会経済学的分析
Project/Area Number |
03J10187
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥島 真一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 一般均衡モデル / 環境政策 / 環境税 / 地球温暖化 / 廃棄物 / リサイクル / エネルギー |
Research Abstract |
本研究は、環境政策力泊本の経済社会に与える影響について分析、評価し、適切な対策を行うための政策提言を目的とするものである。今年度は以下のような成果を得た。 1.本研究で用いる環境政策分析用モデルODINの整備を行った。具体的には、地球温暖化政策、廃棄物・リサイクル政策の影響をより総合的に評価できるように産業(財)部門、消費者部門を再検討し、モデル構造やデーターの改良等を行った。 2.そのODINモデルを用いて、環境政策が目本経済に与える影響について評価した。分析結果は以下の通りである。まず、地球温暖化政策における経済効率性と分配の公平性とのトレード・オフについてAtkinson社会厚生関数を用いて評価することで、政策導入による厚生量の変化、またそれと社会の不平等回避度との関係が定量的に明らかとなった。次に、廃棄物・リサイクル政策、具体的には廃棄物税とリサイクル補助金のポリシーミックス実施により、静脈産業が成長、財でいえば二次鉱物、動植物性残さ、古紙などのリサイクル量が増加し、我が国における廃棄物最終処分量を経済効率的に削減できることが示された。 3.さらに、これまで研究を進めてきた一般均衡モデルをパラメータ推定に利用する新手法(多時点カリブレーション法)を発展、一般化し、分解分析における標準的手法である構造分解分析(SDA)のミクロ経済学的基礎付けに応用した。加えて、これら手法を併用、比較する形で、石油危機後の日本の経済構造、エネルギー消費量や二酸化炭素排出量の変化を要因別に分解し、エネルギー価格の変動が日本経済にいかなる影響を与えてきたかについて分析した。分析結果から、我が国において、価格代替や技術変化はエネルギー・消費量や二酸化炭素排出量を減少させる方向に大きく寄与してきたことが定量的に示された。
|
Research Products
(3 results)