2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古屋 博子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ベトナム現代史 / 越僑 / 在外ベトナム人 / ベトナム系アメリカ人 / ヒトの国際的移動 / トランスナショナル / Migration Studies / 送金 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画で述べたように、2003年11月10日から12月1日までの間、世界最大のベトナム人コミュニティがあるアメリカ合衆国カリフォルニア州オレンジ郡在住ベトナム人500名を対象に世論調査を行った。 本世論調査の主な目的は、1)反共傾向の強い在米ベトナム人のベトナム政府に対する評価を数量的に調べ、かつ1994年に経済制裁解除直後にLA Timesが行った世論調査と比較し変化をみること、2)アメリカ社会への適応度およびベトナムとの紐帯を調査することで、「アメリカ社会に適応しつつもベトナムへの関心・関与も維持する在米ベトナム人」という仮説を検証すること、にあった。 その結果、1)に関しては、1994年のものより、帰国や送金などのベトナムとの交流は増加しているものの、ベトナム政府に対する好感度は下がっており、以前コミュニティで主流であった、「ベトナムとの交流=親共またはベトナム政府を支える」というマイナスイメージから、「交流してもベトナム政府とは関係ない」という交流と政府への印象を切り離して考える傾向がでてきたことがわかった。また、2)に関しては、アメリカ市民権獲得者ほど祖国への送金や帰国率および祖国のニュースへの関心度が高い傾向にあり、また、アメリカで選挙の候補者に投票する際、ベトナム系アメリカ人に協力的であることが重要であると同時に、ベトナム政府と戦う姿勢があることが重要な要素であるという、仮説を見事に裏付ける結果がでた。ホスト社会へ適応すればするほど祖国との関係は薄くなるという従来の説を覆す調査結果がでたことで、非常に有意義であったと思っている。 また、同じく研究実施計画で述べたとおり、同郡ウェストミンスター市の協力を仰ぎ、同市にあるベトナム人コミュニティの目抜き通りのビジネスライセンスデータを写させていただくことができた。今後、コミュニティの発展の歴史の分析を急ぎたい。 これらの調査結果は英語日本語両方で論文にまとめている。現在英語論文はInternational Migration Reviewに投稿中で、日本語論文は現在執筆中である。
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Research Products
(1 results)