2003 Fiscal Year Annual Research Report
文章理解における読み手の方略的活動と文章構造の関連
Project/Area Number |
03J10247
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大河内 祐子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 論説文 / 文章構造 / 方略的活動 / 批判的読み / 既有知識 / 理解モニタリング / 論証 / 結論文 |
Research Abstract |
論説文の読解において,読み手の方略的活動,論説文固有の構造,読み手の既有知識・認識論的信念の関連を実証的に検討し,批判的な読みを促すにはどのような援助が必要か考察するため,今年度は特に方略的活動と論説文固有の構造の関連を検討した。研究の成果は学会発表および紀要において発表した。 第1に,論説文読解における方略的活動と論説文固有の構造の関連について,日本心理学会第67回大会において発表した。この研究ではまず,論説文固有の構造要因の一つである「結論文(文章の主たる結論を述べた文)」を文章中に挿入することが,結論自体の理解や,結論と根拠との関連づけに効果があることを示した。しかし一方で,結論文の挿入が結論以外の部分を詳細に読むことを抑制する可能性もあることを指摘した。なお,この研究を行うため,今年度の補助金を用いて心理学および教育学の文献を購入した。また,データ処理と解析のため,パソコンおよび周辺機器を購入した。 第2に,批判的読み(critical reading)に対する文章の構造的側面の役割に関して,先行研究を整理したレビュー論文を「東京大学教育学研究科紀要」に発表した。論文では,まず(1)広い意味での批判的読みが,少なくとも3側面(理解モニタリング・論証構造の理解・考えの生成)からとらえられることを提案し,次に(2)文章の構造的側面の重要性は3側面で異なることを指摘した。最後に今後の課題として,(3)3側面の時間的順序,読解中のオンラインのプロセス,既有知識と構造的側面の影響の交互作用,を明らかにする必要を述べた。この論文を執筆するため,補助金を心理学および論理学の文献の購入に当てた。
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Research Products
(2 results)