2004 Fiscal Year Annual Research Report
文章理解における読み手の方略的活動と文章構造の関連
Project/Area Number |
03J10247
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大河内 祐子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 方略的活動 / 推論 / 談話 / 対話 / 理解 / 問題解決 / 論説文 |
Research Abstract |
昨年度に続き,今年度は,文章理解において読み手の方略的活動が果たす役割を検討し,高次の方略的活動すなわち能動的な読みの育成への手がかりを得ることを目的とした。第1に,方略的活動のうち特に「推論活動」を取り上げ,いかなる条件の下で推論活動が生ずるか,推論活動が談話理解において果たす役割について文献研究を中心に検討し,研究の成果は「児童心理学の進歩」において発表する予定である。具体的には,「談話」という視点から,国内および海外でなされている推論活動に関する議論を整理したレビュー論文を「児童心理学の進歩」に寄稿した(印刷中,2005)。論文では,まず推論を,問題としてのテキスト・会話の理解における推論と,問題解決のための推論とに分けてとらえた。前者の推論はinference,後者はreasoningにあたる。先行研究から,問題の一貫した理解のために推論活動が重要な役割を果たしていること,さらに論証や協同的問題解決過程は推論の過程そのものであることを明らかにした。最後に談話における推論とは対話性の上になりたつことを指摘し,対話性を軸にした研究の発展を今後の課題とした。この研究を行うため,今年度の補助金を用いて教育心理学,言語学,談話研究の文献,およびプリンター,パソコン周辺機器を購入した。さらに論文作成のための諸経費,研究うち合わせのための国内旅費に補助金を当てた。 第2に,日本心理学会第67回大会において発表した,論説文読解における方略的活動と論説文固有の構造の関連についての研究をもとに論文を執筆し近く投稿する予定である。この研究を遂行するため,補助金を心理学,教育学の文献,およびデータ処理と解析に必要とされるソフトウェアを購入した。
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Research Products
(1 results)