2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 明日香 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミャンマー / 植民地期 / 経済史 |
Research Abstract |
本年度は、19世紀半ば以降に開始された、下ミャンマー・デルタ地帯の開墾過程、特にイギリス植民地政府の政策と当時形成されつつあったデルタ社会の対応関係に焦点を当てることを目的とした研究を行なった。そのために、科学研究費補助金により、ロンドンの大英図書館において、各種法律類、地税局業務報告書、特別委員会調査報告等の資料調査を行なった。この作業から得られた知見は次のとおりである。 1.従来、スエズ運河の開通により、米価が上昇し、移民が殺到、デルタの開墾が進行したとされているが、デルタ開墾には、イギリス植民地政府の公共事業による河川沿いの堤防建設が不可欠であった。 2.又開墾以降、従来の研究ではイギリス植民地政府による地租査定の過程で土地測量、近代的土地所有権の設定が行なわれたとされているが、実際の測量、土地所有権の設定は在地の長に委ねられていた。イギリス植民地政府は、行政の末端までは関与していなかった。 3.土地所有権の設定過程で、実際の開墾者、耕作者は土地所有者となることが出来なかった。 以上に関する論文の公刊は来年度を予定している。
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Research Products
(1 results)