2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 明日香 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミャンマー / 植民地期 / 土地制度史 / 農地改革 |
Research Abstract |
前年度までは、「植民地期のミャンマー土地制度史」という博士課程以来の研究テーマの下、英領期に作成された土地課税台帳を史料として、上ミャンマー、下ミャンマーからそれぞれ一村落を事例にとり、1880年代から1940年代までのミャンマーの土地所有構造の変化を明らかにしてきた。 今年度はこれに続き、二つの研究を行なった。一つは、これまで利用してきた史料の作成過程、作成された背景を明らかにするという研究テーマの土台となる部分である。この成果の発表は現在準備中である。もう一つの研究は、従来の研究テーマを拡大したもので、英領期に発生した土地問題、土地所有構造の清算を目的とし、独立後の1950年代に行なわれた農地改革に関する研究である。ミャンマーにおける農地改革は、社会主義国家建設の一環として行なわれ、地主から収用した農地を耕作者に均等に分配するという実施過程では問題を孕む可能性の大きい改革であったが、これまで、一次資料をもちいてこのテーマを扱った研究は内外でも見られていない。報告者は、農地改革実施以前と以降の土地所有の変化、農地改革の実施上の問題点を、これまで研究対象としてきた一村落を引き続き事例にとり、明らかにした。この成果は、10月に行なわれたアジア政経学会の全国大会で報告した。報告内容の公表は現在準備中である。 今後は、これまで発表してきた論文を、一つのまとまりのある論文に仕上げる予定である。そのために、今年度の1月下旬から3月中旬まで、ミャンマーにて、今のところ報告者の研究の未着手の部分となっている1940年代、日本の占領下における土地所有、農業の変化に関する史料、文献の収集を行なった。又、ミャンマーでは、研究対象としている村落も訪れ、オーラルヒストリーの採取も行い、これまで発表してきた論文の仮説を再度検証する作業も行なった。
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