2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10296
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福留 真紀 東京大学, 史料編さん所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 将軍側近 / 側用人 / 老中 / 若年寄 / 柳沢吉保 / 間部詮房 / 徳川家宣 / 西丸 |
Research Abstract |
本年度は、5代将軍徳川綱吉から8代吉宗の側近を中心に分析した。5代綱吉の側近、柳沢吉保については、柳沢文庫・大和郡山市教育委員会(奈良県)において、藪田家文書を中心に調査・研究を行った。柳沢家家老である藪田家には、大名から送られた書状が、多数残っている。これまで、ほとんど調査がされていなかったが、分析の結果、大名家と柳沢家の関係や、柳沢が幕府の大名支配に果たした役割が読み取れる好史料であることが明らかになった。他にも、この時期のものとして、前橋藩主酒井忠挙の史料である「御老中方窺之留」(前橋市立図書館所蔵マイクロフィルム)がある。これについては、老中・若年寄など、表の官僚機構と柳沢の役割の違いに注目して、分析を深めた。以上の史料を多角的に検討しながら、論文を執筆中である。 6代将軍徳川家宣・7代家継の側近については、「徳川家宣西丸時代にみる側用人」(『日本歴史』第663号)を発表した。本論文では、家宣の西丸時代に注目して、戸田忠利・間部詮房の職務内容を解明し、家宣の側用人の起源を検討した。その結果、戸田は家宣西丸時代における西丸若年寄の起源であり、間部は宝永3年正月9日より西丸側用人であったことが明らかになった。また、間部については、「家宣西丸時代」を視野に入れ、「家宣将軍時代」「家継将軍時代」とあわせて3つの時期があったと捉え、その相違点を意識しながら考えるという、研究の新しい枠組みを示した。また、8代将軍吉宗の側近については、「吉宗公御一代記」(国立公文書館内閣文庫所蔵)、「酒井忠恭日記」(東京大学史料編纂所所蔵)や、「朝林」(名古屋市蓬左文庫所蔵)を中心に、本丸・西丸の関係や、官僚機構と側近の関係から、分析を進めている。特に吉宗の大御所時代における薬草政策に注目して、国会図書館に所蔵されている薬草関係の多岐に渡る史料も視野に入れ、検討した。
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Research Products
(1 results)