2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10296
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福留 真紀 東京大学, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 徳川綱吉 / 政治権力 / 将軍側近 / 側用人 / 柳沢吉保 / 藪田重守 / 老中 / 大名 |
Research Abstract |
本年度は、「諸大名からみた柳沢吉保の政治権力-柳沢家家老藪田重守宛書状から-」(『東京大学史料編纂所研究紀要』第15号)を発表し、岡山藩研究会第22回全体会(3月5日)で、研究報告「綱吉政権期における幕藩関係-柳沢吉保と大名たち-」を行った。いずれも、昨年度から進めてきた藪田家文書(柳沢文庫・大和郡山市教育委員会)調査の成果である。これまで、既成の政治体制にそって活動する柳沢の姿を明らかにしてきたが、それは国家全体の政治運営や将軍直臣の支配などの日常の政務を対象としたもので、あくまで柳沢の政治権力の一面であった。一方で諸大名は、越後騒動の再審や賞罰厳明政策などの綱吉独自の政治から、将軍側近柳沢の力を高く評価し、官位昇進や家格再興運動などで柳沢の指導を仰いでいた。政治権力の全体像を明らかにするには諸大名の視点からの分析が不可欠であることを指摘し、諸大名との日常的な関係に焦点を当てて解明したのが本研究である。大名家のあり方に将軍の意向が大きく働いたこの時期は、御三家や幕閣を構成する大名であっても柳沢との関係が重要だった。一方で柳沢も、次の政権でも柳沢家の立場を維持するために諸大名との繋がりを利用しており、両者の交流には双方向に「大名家の存続」の問題が関わっていたことを解明した。また、綱吉政権期の全体像を描き出すべく「御老中方窺之留」(前橋市立図書館所蔵マイクロフィルム)の分析を進め、論文を執筆中である。8代将軍吉宗以降の側近については、徳川一橋家文書(茨城県立歴史館)や水野忠友の日記(東大史料編纂所)を、幕府官僚組織の解明のために、大河内家文書(豊橋市美術博物館)、島原松平文庫(島原図書館)の江戸幕府日記の調査・研究を行った。なお他に、小浜酒井家(小浜市立図書館)、脇坂家(龍野市立歴史文化資料館)、高松松平家(香川県歴史博物館・丸亀市立資料館)の各大名家文書の調査・研究も行った。
|
Research Products
(1 results)