2003 Fiscal Year Annual Research Report
9-14世紀の東シナ海における港湾の機能と人的ネットワーク
Project/Area Number |
03J10298
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎本 渉 東京大学, 東洋文化研究所, 助手
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Keywords | 国際交流 / 港湾 / 島嶼 / 東アジア / 中国 / 朝鮮 / 日本 / 琉球 |
Research Abstract |
日朝の対外交渉や国内流通の拠点となる島嶼・港湾の古跡・地形などを中心に踏査を行なった。5月には広島県・愛媛県の瀬戸内海沿岸部及び島嶼を調査した。同地は古代・中世における海賊の拠点であり、海上交通の拠点でもある。8月には愛媛県・高知県を調査した。特に高知県は、15世紀末以降日明交通路に組み込まれ、また近世初期には多くの外国人が漂流し、その関係の地名や遺跡も多い。9月には福岡県・佐賀県の調査を行なった。特に中国へ渡る際のランドマークとなる島や山の位置などの実見に重点を置いた。10月には、韓国江原道・京畿道に残る渡海僧関係の寺院などを訪れ、中韓関係を物語る遺物や碑文などを調査した。11月には沖縄県で、中世琉球王国の海上交通に関する遺跡・史料を調査した。研究成果としては、まず文化交流史について、14世紀後半の渡来人の事例紹介とその背景となる国際情勢や人的ネットワークを明らかにした論文「14世紀後半、日本に波来した人々」を『遥かなる中世』誌上に発表した。入宋僧を介した日中文化交流に関する論文としては、日本僧の外国語能力について『歴史と地理』に、渡海に際して携帯した偽造書類について『禅学研究』に、入宋僧の行状研究を『明日の東洋学』誌上に発表した。この他、日本における日宋関係史の研究史整理を『Journal of Song Yuan Studies』誌上に発表した。北宋期日宋間の外交交渉についても、『アジア遊学』誌上に発表予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 榎本渉: "一四世紀後半、日本に渡来した人々"遥かなる中世. 20. 25-54 (2003)
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[Publications] 榎本渉: "中世の日本僧と中国語"歴史と地理. 567. 33-42 (2003)
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[Publications] 榎本渉: "ある一人の入宋僧"明日の東洋学. 10. 6-8 (2003)
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[Publications] Enomoto Wataru: "Updates on Song History Studies in Japan : The History of Japan-Song Relations"Journal of Song-Yuan Studies. 33(未定). (2004)
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[Publications] 榎本渉: "中国史料に見える中世日本の度牒"禅学研究. 82. 57-83 (2004)
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[Publications] 榎本渉: "北宋後期の日宋交渉"アジア遊学. 63(未定). (2004)