2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 裕子 東京大学, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本中近世移行期社会論 / 土豪 / 村落 / 近江国 / 融通 / 土地所有 |
Research Abstract |
本年度は、初年度から継続して行っている近江国(滋賀県)と、丹波国和知荘(京都府和知町)地域の文書調査、フィールドワークを併せて行ない、戦国から江戸時代における土豪の存在形態や在地における機能、土地所有も問題について調査した。 近江国においては、甲賀郡域の土豪の調査として、甲賀市水口町の山中氏と甲賀市甲賀町の大原氏に関わるフィールドワークを行った。具体的には、山中氏に関しては、滋賀県法務局甲賀支局(水口町)において、水口町域の土地利用に関する調査を行い、水口町宇田の山中氏やその若党組などの村内での位置を確認するという調査を行った。一方、大原氏に関しても、滋賀県法務局甲賀支局において、現在甲賀町域に現存する地籍図(旧公図)にみられる村内のランドマークや村内の宅地の所在などを確認しながら、特に甲賀町鳥居野地区と甲賀町大原上田地区に関する聞き取り調査を行った。それにより、主には江戸時代の村の様子であるが、村の祭礼や村組の実態、生業や用益のあり方を具体化することができた。また、戦国期には同名中一揆掟を作成していた大原同名中が、近世では「同名中講」を形成し、その講関係文書が大原町に現存するということで、その講関係文書の調査も行った。これにより、大原同名中一揆がどの範囲で展開していたのかということを想定することが可能になったといえる。その他、甲賀市域に関する刊行物を調査するとともに、甲賀町に隣接する伊賀の土豪館の調査も行った。伊賀の土豪館のあり様と甲賀のそれとの類似性から、両地域を総合的にみていく必要があることが確認できた。現在は、これらの成果をまとめる作業を進めている。 さらに、初年度以来調査している山城国和知荘の片山氏についても、中村の「片山家文書」の写真撮影と、片山株に関する聞き取り調査を継続して行なった。その結果、地頭片山家の系譜やその分家分出過程について理解することが可能となった。
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