2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 美希 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガラス / 履歴 / 記憶 / 大腸菌 / 細胞性粘菌 / 運動解析 |
Research Abstract |
本研究は、履歴・記憶現象を生成する典型的モデル系として知られるガラス系の理論的研究を行い、また生物システムのような他の様々な系においてガラス系と同様と思われる現象の理解を試みることによって、記憶と履歴という普遍的性質を通じて様々な系を解明する事を目的としている。 そこで本年度は、主に生物系への応用を実際に試みることに主眼が置かれた。その適用として選ばれた系は、大腸菌と細胞性粘菌である。これらのシステムの、特に運動性については、反応・適応・記憶という特徴的時間スケールが存在することが知られており、これら時間スケールの関係性を探ることが主たる目的とされた。 大腸菌の運動については、べん毛の回転のゆらぎに非常に特徴的なスペクトルが形成されていることが知られている。このスペクトルと、大腸菌の適応・記憶との関係性については、主に本研究者昨年に行われたモデル研究によりほぼ解明され、そこにおいて主たる成果といえる、適応能力と不可逆循環との関係が提出された。本年度はより理論的に受け入れやすいモデルの改良が行われた(Progress, to be appear)。 また大腸菌とは異なる運動様式を持つ細胞性粘菌について、同様な理論の構成が可能かどうかが試された。とくに細胞性粘菌においては大腸菌のような明確な実験による運動解析が行われていないため、運動解析を本研究者自身および共同研究者の手で行われた。運動解析は位相差顕微鏡により取得された運動の動画の画像解析という手法で行われ、細胞の状態に応じて、運動のパターンに特徴的統計的性質が表れることを見出した(論文準備中)。
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Research Products
(3 results)