2005 Fiscal Year Annual Research Report
離散系列のヴィラソロ頂点作用素代数とムーンシャイン頂点作用素代数の研究
Project/Area Number |
03J10379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 伸也 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員
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Keywords | 頂点作用素代数 / モンスター単純群 / ムーンシャイン |
Research Abstract |
頂点作用素代数において、イジング元と呼ばれる単純ヴィラソロ部分頂点代数を生成する中心電荷1/2の共形元は、イジング模型のフユージョン規則の位数2の対称性からタウ自己同型と呼ばれる自己同型を定義する。ある条件の下で、頂点作用素代数の次数2の部分空間は、グライス代数と呼ばれる不変内積を持つ非結合な可換代数の構造を持つ。ムーンシャイン頂点作用素代数の場合、タウ自己同型は全自己同型群であるモンスター単純群の共役類2Aの位数2の自己同型を与える。モンスターの性質として、2つの2Aの自己同型の積の位数は6以下であり、その積が入る共役類は丁度9個あり、対応するイジング元の内積はその共役類によって決まることが知られている。 今年度は、頂点作用素代数から定義されるグライス代数において、2つのイジング元が与えられたとき、それらの内積と対応する2つのタウ自己同型の積の関係について研究した。具体的には、2つのイジング元で生成される部分代数を考え、そこの元たちの積の関係を決めることで、この部分代数の次元が8以下であることをまず示した。また、対応する2つのタウ自己同型の生成する部分群の作用による2つのイジング元の軌道の元の個数が6以下であることを示し、2つのイジング元の内積とそれらで生成される部分代数の構造が決定することが分かった。結果として、対応する2つのタウ自己同型の積の位数が6以下であることが証明できた。さらに、このようなイジング元の対は、ムーンシャイン頂点作用素代数で実現されているものに限られることが分かり、モンスター単純群の6-互換性が頂点作用素代数の立場から説明することができた。
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