2003 Fiscal Year Annual Research Report
離散系列のヴィラソロ頂点作用素代数とムーンシャイン頂点作用素代数の研究
Project/Area Number |
03J10379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 伸也 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 頂点作用素代数 / ムーンシャイン / モンスター単純群 |
Research Abstract |
頂点作用素代数Vが中心電荷1/2の共形元eを含み、その次数を保つ作用素e_1がV上に1/(16)の固有値を持たないとき、e_1のV上の固有値は整数Zまたは半整数1/2+Zであり、それぞれの固有空間上に1または-1として与えられる線形写像σ_eはσ^2_e=1となるVの自己同型になる。グライス代数と呼ばれるウエイト2の空間V_2において、このような2つの共形元の内積が0のとき2つのσ-自己同型は可換になり、内積が1/(32)のとき2つのσ-自己同型の積の位数は3であることが知られている。コード頂点作用素代数の場合は互いに直交する共形元に対するσ-自己同型が2-群を生成するが、本年度はこのσ-自己同型が対称群を生成するような頂点作用素代数であってムーンシャイン頂点作用素代数に含まれるものを考察した。 格子√<2A_n>に付随する格子頂点作用素代数において、互いに直交するn個の離散系列の共形元とパラフェルミオン代数のヴィラソロ元Ωを構成できることが知られているが、次数を保つ作用素Ω_1に対して固有値0の固有ベクトル全体がなす部分頂点作用素代数Mを考える。Mはムーンシャイン頂点作用素代数にも含まれており、Mの中心電荷1/2の共形元に対するσ-自己同型は対称群S_<n+1>になることがわかる。本年度の主結果は、Mがウエイト2の部分空間M_2で生成されることを証明したことである。この結果からMの全自己同型群がS_<n+1>であることも導かれる。また、Mの既約加群の分類やフュージョン規則について考察し、それらを用いてS_<n+1>のムーンシャイン頂点作用素代数上への持ち上げを考察した。これらの結果についての投稿論文は現在執筆中である。
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