2004 Fiscal Year Annual Research Report
曲面上の点の配置空間と写像類群および三次元多様体の有限型不変量に関する研究
Project/Area Number |
03J10384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森山 哲裕 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 三次元多様体 / 有限型不変量 / キャッソン不変量 / 符号数 |
Research Abstract |
曲面上の点の配置空間と写像類群および三次元多様体の有限型不変量に関する研究を行った。今年度は特に、三次元ホモロジー球面に対して定義される有限方不変量のひとつである、キャッソン不変量に関して研究をおこなった。 研究の背景は以下のようなものである。3次元ホモロジー球面の有限型不変量については、いくつかの定義の方法が知られていて、そのなかには空間上の点の配置空間を用いたものがいくつかある。Kuperberg-Thurstonらによる構成はそのひとつであり、これはほか研究者による構成方法に比べてよりホモロジカルであるということを彼ら自身が指摘している。この構成によるとキャッソン不変量は、ある写像の写像度や、符号数欠損と呼ばれる4次元多様体の符号数に関連するある種の二次的な量によって記述される。 Kuperberg-Thurstonらの研究を参考に、(後に一般化への展開を想定しながら)キャッソン不変量に主眼を置き、4次元多様体の符号数との関係をしらべました。コホモロジカルな定義に用いるコホモロジー類には、複素直線束の第一チャーン類に起因するものが頻繁に現れる。その点に注目し、この研究では、常コホモロジー群だけではなく、一般コホモロジー群のひとつである位相的K-群も積極的に計算に用いた。 その結果、3次元ホモロジー球面の間の写像のホモとピー類に対して、キャッソン不変量の類似物が定義できることが分かった。この類似物は、写像のグラフ空間(これは6次元多様体の中に埋め込まれた3次元不分多様体になる)の補空間の中にある方法で構成される4次元多様体の符号数である。もし写像が恒等的ならば、グラフ空間の補空間は2点配置空間に一致し、この量はもともとのキャッソン不変量に一致する。
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