2005 Fiscal Year Annual Research Report
曲面上の点の配置空間と写像類群および三次元多様体の有限型不変量に関する研究
Project/Area Number |
03J10384
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森山 哲裕 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Casson-Walker不変量 / 点の配置空間 / 符号数 / 有限型位相不変量 / スピン構造 |
Research Abstract |
三次元多様体の有限型位相不変量のひとつであるCasson-Walker不変量の新しい別構成および定義のある一般化を行った。. Kuperberg-Thurston(K-T)らは、Kontsevichにより与えられたChern-Simons field theoryに関連する三次元多様体およびリンクの摂動的量子不変量の、位相的定義を与えた。この不変量のあるひとつの項がCasson-Walker不変量に一致する。彼らの構成を参照することにより、Casson-Walker不変量の二次的なコボルディズム不変量としての意味づけを与える別構成をあたえた。つまり、与えられた向き付けられた有理ホモロジー球面に対し、それのいくつかの非交和を境界にするような4次元多様体をある一定の方法で構成し、その符号数(整数値)がCasson-Walker不変量のある定数倍に一致することを示した。 さらに、整数係数ホモロジー球面の場合には、その4次元多様体をスピン構造を持つように構成できることも示した。したがってこの結果は、低次元トポロジーにおいて重要な不変量のひとつであるロホリン不変量(0または1に値をとる)の定義方法を、整数に値をとるようにをその定義を持ち上げたようなもの、とも見なせるであろう。 K-Tらの構成によるとCasson-Walker不変量はホモロジー球面Mの2点配置空間上のある積分(+補正項)により与えられる。2点配置空間とはMの二つの直積空間M^2から、その対角線集合をMの恒等写像のグラフとみなし、これを一般の写像のグラフに置き換えることにより、Mの写像のホモトピー類の不変量を定義できた。
|