2003 Fiscal Year Annual Research Report
X線磁気散乱による希土類-遷移金属合金の磁気相転移に関する研究
Project/Area Number |
03J10403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 勇人 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線磁気吸収 / 磁気円二色性 / MCD / 磁気相転移 / 希土類-鉄ガーネット |
Research Abstract |
希土類-遷移金属磁性体の中でも特に、温度・磁場・圧力といった外的因子により磁気構造が変化していく系について、放射光X線を用いた磁気散乱・磁気吸収の実験手法を用い、電子構造とマクロ磁気特性の相関を研究した。以下に主な実績を示す。 (1)高輝度光科学研究センター(SPring8/JASRI)において、合金試料の作製・評価・実験までの流れを円滑に行うことを目的とし、プラズマアーク溶融炉の立ち上げ及び石英管真空封止装置の整備を行った。多元素磁性合金の融解合成後、速やかに真空封入、熱処理を行うことが可能とした。 (2)磁性材料の有力な測定手段として注目されている磁気円二色性(MCD)実験について、特に硬X線領域におけるMCDスペクトルと磁性電子のスピンとの相関を調査した。希土類-鉄ガーネット(Rare Earth-Iron Garnet ; R-IG)におけるRのL2吸収端でのMCDスペクトルの温度変化について解析し、スペクトルに含まれるRからの寄与がR-IGのR副格子磁化に相当することを示した。 (3)R-IGはRが重希土類の場合、特定温度での磁場印加により磁気モーメントが傾斜配向することがわかっている。この系のR副格子を軽希土類と重希土類の任意の比率で合成した試料を作製することにより磁気構造転移のメカニズムの解明、制御を狙った。回転式イオンビームスパッタ装置によりR-IG薄膜試料の作製を試み、比較的単相に近い組成のR-IG薄膜を得ることに成功した。 (4)強磁性合金CeFe_2M_<1-x>(M:遷移金属)の低温での反強磁性-強磁性転移過程における磁気モーメントの変化を調査することを目的とし、M-Co, Ti, Cu, Mnについてアーク溶融法およびマグネトロンスパッタ法にて作製を行った。M=Coの試料について磁気吸収実験を行い、Co元素がCeの磁気モーメントの軌道成分に影響を及ぼしている結果を得た。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hayato Miyagawa, Naomi Kawamura, Motohiro Suzuki: "Temperature Dependence of the Rare-Earth Sublattice Magnetic Moments in R_3Fe_5O_<12> (R=Sm, Gd, and Dy) investigated by X-ray Magnetic Circular Dichroism"Transaction of the Materials Research Society of Japan. (in press). (2004)