2004 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム系における温度カオス・階層構造に関する理論研究
Project/Area Number |
03J10411
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 志剛 東京大学, 物性研究所, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | スピングラス / superspin glass / superparamagnet / 履歴現象 / 温度カオス / メモリー効果 / 若返り |
Research Abstract |
(1)最近ナノ磁性粒子系においてある奇妙な履歴現象が観測され、これは各粒子の配置がランダムで、しかも粒子間に強い双極子相互作用が働いているsuperspin glassに特有の現象であるとの主張がなされたのだが、実際には粒子間相互作用がほとんど存在しないsuperparamagnetにおいても、粒子サイズの分布に伴う緩和時間の分布が原因となってこの現象が起こり得ることを明らかにした。[研究業績1,3] (2)Migdal-Kadanoffスピングラスにおける非平衡ダイナミックスの研究を行い、スピングラスの実験において観測されている"メモリー効果"と"若返り"がこのモデルにおいて再現されることを示した。また、このモデルが温度カオスの性質を持っていること、及び温度が低くなるに従って系の熱平衡化が遅くなることが、これらの現象にとって本質的であることを明らかにした。[研究業績2] (3)Edwards-Anderson(EA)スピングラス模型に対し、ドメイン壁実空間繰り込み群法・レプリカ交換モンテカルロ法・マルチスピンコーディングという3つの手法を組み合わせたシミュレーションを行うことにより、同模型の熱力学的極限における熱平衡状態は無限小の温度及びボンド変化に対して不安定であるという、温度カオス及びボンドカオスと呼ばれる性質を持っていることを明らかにした。また、一見全く異なるこの2つの摂動がexponentやスケーリング関数を共有するという、摂動に関するuniversalityとも呼ぶべき性質をこの模型が持っていることを明らかにした。[研究業績4] (4)磁場中のEAスピングラスにおいて有効カップリング・有効磁場を測定し、これらのデータをスケーリング解析する事により、磁場中スピングラス相が存在しないことを強く示唆する結果を得た。 [2004年秋の日本物理学会において発表、論文投稿準備中]
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Research Products
(4 results)