2003 Fiscal Year Annual Research Report
不安定な4f電子を持つ希土類鉄族金属間化合物における特異な磁性の解明
Project/Area Number |
03J10414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 哲也 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | YbMn_2Ge_2 / 純良単結晶 / 磁化測定 / 混合原子価状態 / 磁気相互作用の競合 / XANES / AFM I / AFM II |
Research Abstract |
YbMn_2Ge_2の純良単結晶を育成し、常圧下での磁化測定を行った。その結果、温度変化に伴って、AFMI相(163K<T<T_<N1>〜405K)とAFM II相(T<T_<N2>=163K)の二種類の反強磁性を示す事を明らかにすると同時に、低温の反強磁性相(AFM II)から磁場誘起キャント強磁性相(Fi)へのメタ磁性転移磁場B_cが温度上昇に伴って一旦は緩やかに減少した後、極小を示し、ネール点T_<N2>直下においては異常に増大するといった、従来の反強磁性体とは一線を画する特異な振舞いを見出した。この振舞いは、基底状態において、少なくとも2種類の磁気的相互作用が競合している事による現象である事を示唆している。また、300Kにおいて測定したYb L_<III>端近傍でのXANESスペクトルからはYbイオンの価数がおよそ、+2.4価であったことから、この競合現象はYb原子が2価と3価の混合原子価状態にある事に根差していると思われる。また、外部静水圧下での磁化測定を行った結果、本系は極めて顕著な圧力効果を示す事が明らかになった。つまり、常圧下では163Kであったネール点T_<N2>が、1.0GPaの圧力下では270Kにまで押し上げらる。さらに加圧すると、T_<N2>は逆に低温側にシフトし、2.0GPaでは112Kにまで下がった。また、高温の反強磁性相(AFM I)のネール点T_<N1>も、圧力に強く依存しており、T_<N2>が最大を示す〜1.25GPaにおいて、T_<N1>は最小(〜370K)となった。つまり、AFM I相とAFM II相が競合関係にある事を端的に示している結果を得たと言える。
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Research Products
(1 results)