Research Abstract |
本研究の目的は,道路ネットワーク上で発現する現象を対象とした空間分析手法を提案すると共に,提案した手法をGISソフトウェアの拡張機能として開発・実装することである.研究の流れは大きく,(1)新しい手法の提案,(2)分析ツールの開発,(3)実データに対する手法の適用の三つに分けられる. 本研究では,従来平面空間で行われれてきた様々な空間分析手法の中で最も重要な手法の一つであるセルカウント法に焦点をあて,それをネットワーク上の点分布を分析する手法として確立すべく,15年度は,(1)のネットワーク・セルカウント法の理論構築と(2)の一部を行い,16年度は,(2)の大部分と(3)を行った. (2)では,(1)で確立した分析手法を実現するコンピュータプログラムを開発し,それをGISソフトウェアの拡張機能に組み込むことによって,GIS上で動作する空間分析ツールとしたまた,ツールを公開し,利用者のコメントを参考に,システムの再検討やプログラムの改良を行い,ツールとしての完成度を高めた(その成果をShiode and Okabe(2004),Okabe and Shiode(2004)で発表した). (3)では,様々な実データを用意し,各データに対して平面セルカウント法,ネットワーク・セルカウント法の両者を適用した比較研究を行い,手法とツールの有効性を検討した.その結果,(1)従来平面セルを用いて分析されてきたが,ネットワーク空間上で分析することによって,より的確な分析結果が得られる現象が多く存在すること(成果は,塩出・岡部(2004)で発表)、(2)開発した手法が都市空間の現象のみならず,様々な分野の現象に対する手法としても有効であること(適用例の一例をSpooner, et al.(2004)で発表)を確認した. また新しい試みとして,ネットワーク上での現象を対象とした分析手法の中でもセルカウント法と並んで頻繁に用いられる,クラスター検出のためのクランプ法を,ネットワーク空間上で行うための手法の開発に取り組んだ.このテーマについても研究の流れは上記の3段階に分けられるが,本年度は(1)の理論構築と,(2)の一部を行った(成果は,塩出・岡部(2004)で発表).
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