2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤外自由電子レーザーを利用した遷移金属化合物クラスターの振動分光
Project/Area Number |
03J10503
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
登野 健介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 赤外自由電子レーザー / クラスター / 振動分光 / 光解離分光 / マンガン酸化物クラスター / 光電子分光 / タングステン炭化物 |
Research Abstract |
1.東京理科大学自由電子レーザー研究センターにて、クラスターの振動分光装置の製作を行った。赤外自由電子レーザー(IR-FEL)を用いてクラスターの光解離スペクトルを測定することで、振動スペクトルと同等の情報が得られる。装置が完成し、有機化合物クラスター等を試料として実験を行っている。 また、多環芳香族固体(アントラセン、テトラセン、ペリレン等)にIR-FELを照射し、脱離イオン質量分析、時間分解発光分光、X線吸収分光等を行って、IR-FEL照射によって誘起されるプロセスを調べた。その結果、IR-FELの照射によって試料表面に高温のプラズマ状態が生じ、プラズマ発光および試料分子の蒸発・イオン化・分解が起こることが分かった。また、IR-FEL照射後の試料表面に、グラファイト状の物質が生成していることが明らかになった。 2.マンガン酸化物クラスター正イオン(Mn_NO^+)の磁気特性および酸素原子の結合様式を、光解離分光を用いて調べた。その結果、各マンガン原子上の局在スピンがすべて強磁性的に結合した電子構造が安定であることが分かった。また、酸素原子はマンガン原子2個を架橋して結合していることが示唆された。 3.タングステン炭化物上における気体分子(一酸化炭素、水素)の吸着状態を、紫外光電子分光を用いて調べた。その結果、一酸化炭素は、25℃ではタングステン炭化物表面に吸着せず、マイナス170℃程度の低温では分子状で表面に吸着していることが明らかになった。タングステン表面上には25℃でも一酸化炭素が吸着することを考えると、炭化物になるとタングステンの活性が失われることが分かる。また、水素は原子状で吸着し、タングステン炭化物表面の仕事関数を1eV程度減少させることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)