2004 Fiscal Year Annual Research Report
5配位窒素化合物の単離及び機能性カチオンの構築へ向けた新規アンモニウム塩の合成
Project/Area Number |
03J10507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科・特別研究員(助手)
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Keywords | パラジウム / 単座配位子 / 還元的脱離 / 電子効果 / 3配位 / カルベン配位子 / 二酸化炭素 / 酸素 |
Research Abstract |
電子的に非対称な摂動を与えたDPPF誘導体を2座のホスフィン配位子として有する不安定なパラジウムアリールアミド錯体を合成し、低温NMRによる還元的脱離反応速度の解析を通じて、還元的脱離反応に対する配位子の電子的摂動に対するトランス影響を明らかにすることができた。4配位パラジウムアリールアミド錯体において、配位子が電子不足な場合は反応が加速されるという事実は過去の事例と傾向が一致したが、アミド配位子のトランス位に電子求引性基が存在するとき反応は加速され、その程度はアリール配位子のトランス位にある電子求引基に比べて大幅に大きいものとなることを明らかとした。 また、3配位パラジウムアリールハライド錯体を原料として用い、C-N結合生成反応における次段階の中間体に相当する3配位パラジウムアリールアミド錯体を合成、構造決定した。これらの錯体においてはホスフィン配位子がアミド配位子のトランス位に位置しており、トランス影響を反映した構造となっていた。また、いくつかの錯体はこれまで3配位パラジウム錯体において観測されていた分子内C-H agostic相互作用を有しておらず、純粋な3配位錯体として考えることができる。これらの錯体は加熱することにより還元的脱離反応を起こして対応するアリールアミンを与え、その収率は非常に高かった。速度測定の結果により還元的脱離反応が3配位錯体から直接進行すること、かさ高いホスフィン配位子が反応を加速すること、同じアリール基とアミド基をもつ対応する4配位錯体に比べて非常に早く反応が進行することを明らかとした。 m-テルフェニル骨格を窒素上に有する新規なbowl型カルベン配位子を合成した。合成した配位子をPd[P(o-tol)_3]_2との配位子交換によりPd上に導入することで、直線2配位型Pd(0)錯体を得た。この錯体は室温、固体状態で空気中の酸素および二酸化炭素と連続的に反応し、これらの気体分子を1分子ずつ取り込むことでPd(II)-peroxocarbonate錯体へと変化した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Syntheses and Structures of Hypervalent Pentacoordinate Carbon and Boron Compounds Bearing an Anthracene Skeleton-Elucidation of Hypervalent Interaction Based on X-ray Analysis and DFT Calculation.2005
Author(s)
Yamashita, M., Yamamoto, Y., Akiba, K.-y., Hashizume, D., Iwasaki, F., Takagi, N., Nagase, S.
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Journal Title
Journal of the American Chemical Society 127(in press)
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[Journal Article] Extended hypervalent 5c-6e Interactions : Linear Alignment of Five C-Z---O---Z-C (Z=S, Se) Atoms in Anthraquinone and Anthracene Systems.2005
Author(s)
Nakanishi, W., Hayashi, S., Furuta, T., Itoh, N., Nishina, Y., Yamashita, M., Yamamoto, Y.
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Journal Title
Phosphorus, Sulfur, Silicon and Related Elements (in press)
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