2003 Fiscal Year Annual Research Report
酵素反応を利用した多重情報取得バイオシステムの開発
Project/Area Number |
03J10517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野津 英男 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酵素 / 電極 / フェノール類 / チロシナーゼ / ペルオキシダーゼ / 分離検出 / 光触媒 / リソグラフィー |
Research Abstract |
多重情報同時取得型バイオシステム開発の具体的な対象として、まずフェノール類の分離検出について検討した。二種類のフェノール類が共存するサンプルを、二種類のフェノールオキシダーゼ酵素(チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ)修飾電極でアンペロメトリック測定を行うことで、酵素活性の差を利用して独立に分離定量検出が可能であることを明らかにした。さらに、チロシナーゼおよびペルオキシダーゼの各々一種類を修飾した電極の応答の和より、二種類を混合して同時に修飾した電極の応答が大きいという増幅効果が発現することを見出した。このことから二種類の酵素を用いて三つ以上の異なる活性を有する酵素電極を作製でき、より多種類のフェノール類が共存するサンプルに対してもこのシステムを適用できることが示唆された。二種類の酵素を近接させて配置してのアンペロメトリック測定によって、二種類の酵素がマイクロメートルオーダー以下で近接しないと増幅効果が発現しないことを確認した。増幅効果の機構を明らかにするため、二種類の酵素間の距離をより精密な制御を目標に光触媒リソグラフィー法を利用した酵素電極の二次元パターニングの研究を開始した。光触媒リソグラフィー法とはフォトマスクに塗布した酸化チタンの非接触酸化分解反応を利用したパターニング法である。ITO電極上に修飾したシランカップリング剤および金電極上に修飾したチオール類の有機膜を、光触媒リソグラフィー法によりフォトマスクと同じ形状にパターニングできることを明らかにした。ひきつづく酵素固定化のために、光触媒リソグラフィー処理による有機膜の変化の様子をXPSにより分析した。その結果、処理によって有機膜に酸素原子が反応して酸化物を形成しながら酸化分解反応が進行し、最終的にはチオールの硫黄原子も二酸化硫黄となって取り除かれることを明らかにした。現在はこれらパターニングした有機膜へのチロシナーゼなどの最適な固定化法を検討している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hideo Notsu, Tetsu Tatsuma: "Simultaneous determination of phenolic compounds by using a dual enzyme electrodes system"Journal of Electroanalytical Chemistry. (in press). (2004)
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[Publications] 立間 徹, 野津英男, 小森喜久夫, 佐藤 健: "酵素チロシナーゼを用いたセンサー"BIO INDUSTRY. 20・8. 21-29 (2003)