2003 Fiscal Year Annual Research Report
非共有結合の導入による環境応答型ナノマテリアルの開発
Project/Area Number |
03J10526
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝下 倫大 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 自己組織化 / 非共有結合 / 水素結合 / 液晶 / ナノファイバー / 電気光学機能 / 自己集合 / ミクロ相分離 |
Research Abstract |
水素結合によって形成される自己組織性ナノファイバーをネマチック液晶と複合化し、複合体の配向を制御することで、優れた電気光学機能を発現させた。液晶配向膜を塗布した液晶セル中で液晶を均一に配向させ、その液晶をテンプレートとして自己組織性ファイバーを形成させることによって複合体の配向制御を行った。偏光板を用いるツイスティッドネマチックモードでは、電場刺激に対して高速かつ高コントラスト応答が達成された。また、誘電率異方性が負のネマチック液晶を用いることで光散乱型の表示材料を得ることができた。 外部刺激に応答して構造変化を示す新しいマテリアルとして、光応答性ユニットであるアゾベンゼンを導入した水素結合性ファイバーと液晶との複合化により、書き換えが可能な光情報記録材料を開発した。光刺激と熱刺激を組み合わせて用いることで、室温で安定な二つの複合状態をつくりだすことに成功した。これら異なる二つの複合状態をパターニングすることで記録されたは情報は、半年以上安定に保持された。また、加熱することにより情報の消去も容易に行うことができた。 ナノメートルスケールでの機能分子の集積に対する新しいアプローチとして、カップ型のキャピティを有するフラーレン分子を設計・合成し、その液晶化を行った。カップ型キャビティは分子同士が重なりあう際に、隣接分子のフラーレン部位を深く包摂し、安定なカラムナー構造を形成した。以前、円錐型のフラーレン誘導体を用いて行われた試みに比べ、キャピティを適切にデザインしたことで、熱的により安定な集積体が得られた。さらにフラーレン間の距離を以前の系よりも約1オングストローム近づけることができ、電子・光機能材料への応用の可能性を高めた。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 溝下倫大, 英 謙二, 加藤隆史: "Fast and High-Contrast Electro-Optical Switching of Liquid-Crystalline Physical Gels : Formation of Oriented Microphase-Separated Structures"Advanced Functional Materials. 13・4. 313-317 (2003)
-
[Publications] 溝下倫大, 鈴木由紀, 英 謙二, 加藤隆史: "Light Scattering Electrooptical Properties of Liquid Crystal Physical Gels"Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering. 5003. 159-166 (2003)
-
[Publications] 守山雅也, 溝下倫大, 横田智己, 岸本健史, 加藤隆史: "Photoresponsive Anisotropic Soft Solids : Liquid-Crystalline Physical Gels Based on a Chiral Photochromic Gelator"Advanced Materials. 15・16. 1335-1338 (2003)
-
[Publications] 鈴木由紀, 溝下倫大, 英 謙二, 加藤隆史: "Homeotropically Oriented Nematic Physical Gels for Electrooptical Materials"Journal of Materials Chemistry. 13・12. 2870-2874 (2003)
-
[Publications] 溝下倫大, 守山雅也, 加藤隆史: "液晶ゲルのディスプレイへの展開"光学. 32・12. 710-712 (2003)
-
[Publications] 松尾豊, 村松彩子, 浜崎亮, 溝下倫大, 加藤隆史, 中村栄一: "Stacking of Molecules Possessing a Fullerene Apex and a Cup-Shaped Cavity Connected by Silicon-Connection"Journal of the American Chemical Society. 126・2. 432-433 (2004)
-
[Publications] 守山雅也, 溝下倫大, 加藤隆史: "ナノファイバーテクノロジーを用いた高度産業発掘戦略 第11章3節 自己組織性ナノファイバー"シーエムシー出版. 9 (2004)