2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞を用いた分化調節因子の探索及びその機能解析
Project/Area Number |
03J10539
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藁科 雅岐 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経分化 / ニューロジェネシス / ニューロン / 神経幹細胞 / ケミカルライブラリー / リボザイムライブラリー |
Research Abstract |
ヒトの記憶制御機能を司る海馬領域は、成人の脳内で1、2を争うほど神経新生(ニューロジェネシス)が頻繁に起こる。海馬のDentate Gyrus領域に存在する神経幹細胞からはニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトといった細胞に分化される。成人の海馬での成熟ニューロンへ第一歩の道を踏み出すニューロジェネシスのしくみは、胎児期の細胞制御と全く異なる。成熟神経細胞にはイオンチャンネル、ニューロトランスミッターレセプター、ニューロトロフィン、シナプスタンパク質、細胞骨格タンパク質、細胞接着タンパク質、プロセス内輸送タンパク質、転写因子などといった、非常に多くの神経細胞特異的遺伝子が発現する。 本研究では、Adultラット由来の神経幹細胞を用い、神経分化調節因子の探索を行っている。これまでに、不死化や癌化されていない非常に不安定であるが自然に近いラット海馬由来の神経幹細胞に対するケミカルライブラリーおよびリボザイムライブラリーを用いた分化調節因子のスクリーニング系を確立した。ケミカルライブラリーを用いたスクリーニングでは、10000を超える化合物の中から3種の新規神経分化誘導化合物の発見に成功し、その分化能を神経特異的マーカー遺伝子の発現等で確認した。現在はそのin vivoでの効果およびDNAマイクロアレイ等を用いた作用機構の解明を行っている。神経分化誘導化合物の標的解明はその後の神経再生等の標的因子として利用できると期待している。
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Research Products
(3 results)