2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞を用いた分化調節因子の探索及びその機能解析
Project/Area Number |
03J10539
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藁科 雅岐 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経幹細胞 / ニューロン / スクリーニング |
Research Abstract |
現在考えられている神経幹細胞の分化経路は、神経細胞全てへの分化能を持つ神経幹細胞から始まり、まず二つの前駆体細胞に分化する。この前駆体細胞の1つである神経前駆細胞からは成熟ニューロンが生成される。もうひとつの前駆細胞であるグリア前駆細胞からはアストロサイトとオリゴデンドロサイトがそれぞれ生成される。これら神経幹細胞の分化に必要な神経関連遺伝子の緻密なネットワークは、まだまだ明らかになっていないことが多い。 本研究では、まず神経幹細胞を用いた分化調節因子の探索に用いるスクリーニング系の開発を行った。できるだけ、自然に近い状態で分化因子の探索を行うため、ラットの海馬から単離された神経幹細胞を使用した。これは癌化や不死化されていない細胞なため扱いが難しく、そのため、まずは比較的容易な低分子化合物を用いたスクリーニングを行った。いくつもの低分子化合物を投与し神経分化を誘導する化合物の探索をおこなった。ある特性を持つ低分子化合物を2000個ほどスクリーニングした段階で、非常にニューロン分化誘導活性をもつ分子量300ほどの分子を発見した。一般的には、神経幹細胞から分化したニューロンを作成するのにレチノイン酸が用いられるが、レチノイン酸からはニューロンだけでなくアストロサイトも多く分化誘導される。それに対し、本研究で発見した化合物はニューロン特異的に分化誘導するという高い特異性を持っていた。現在は、この化合物の標的を探索しており、これを足がかりにして分化調節因子の同定を試みている。また、神経分化誘導因子は、神経損傷患者の神経再生治療などに期待されるため、ラットやマウスを用いた動物実験も行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Wen, B.G, Pletcher, M., Warashina, M., Choe, S.H., Ziaee, N., Wiltshire, T., Sauer, K., Cooke, M.P.: "Inositol (1,4,5) trisphosphate 3-kinase B Controls Positive Selection of T cells and Modulates Erk Activity"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (In press).