2004 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類における性淘汰:精子間競争とメスによる父性の操作
Project/Area Number |
03J10576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沓掛 展之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 霊長類 / 哺乳類 / 性行動 / 繁殖の偏り / ミーアキャット / 社会行動 |
Research Abstract |
本年度は英国ケンブリッジ大学の動物学科に訪問研究員として滞在し、当地の研究者と共同研究を行い、今後の研究体制を整備した。また、ヨーロッパ各地で行われた行動生態学の学会やシンポジウムに参加し、研究の成果を発表した。具体的な成果は以下の4点である。 (1)霊長類における繁殖の偏りモデル(とくにConcession仮説とLimited control仮説)を検証するために、オス繁殖成功度のばらつきの間接指標となる交尾成功度のパターンを、種間比較法を用いて解析した。また、繁殖の偏りの指標と精子競争の強さ、発情周期の同調性などが与える影響を検証した。その成果を、イギリス動物行動学会にて、ポスター発表し、論文執筆を行った。 (2)2005年度に収集した野生ミーアキャットSuricata suricattaのデータ解析、学会発表、論文執筆、投稿を行った。繁殖を独占する優位メスと、繁殖を試みる劣位メス間の繁殖をめぐる葛藤が、攻撃行動、追放行動、服従行動、毛づくろい行動などに反映されていることが分かった。また、霊長類をはじめとする多くの社会生活を営む哺乳類で確認されている仲直り行動が、ミーアキャットでは起きないことを定量的に示し、繁殖の偏りと社会関係の調整、葛藤解決の有無が共変するという仮説を提唱した。この成果はイギリス霊長類学会における招待口演で発表される予定である。 (3)2005年度に収集した飼育アビシニアコロブスColobus guerezaの挨拶行動を分析し、国際霊長類学会における招待講演にて口頭発表した。また、その成果を国際誌に投稿した。 (4)野生チンパンジーPan troglodytesにおける社会行動の分析を継続し、国際誌に投稿した。またイギリス霊長類学会において発表される。
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