2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10628
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北川 貴士 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | クロマグロ / 回遊 / アーカイバルタグ / 体温 / 鉛直遊泳行動 |
Research Abstract |
東部太平洋で漁獲されたクロマグロの腹腔内にアーカイバルタグを装着し、2002および2003年の7-8月に合計160個体を放流し、これまでに再捕・回収された16個体のタグに記録された水温、遊泳深度、腹腔内温度の時系列データを解析した。 夏季、南カリフォルニア湾からバハ・カリフォルニア沿いの陸棚上で、クロマグロは躍層付近での急激な水温変化を避けて一日の大半をごく表層で過ごしていた。しかし、昼間には水温躍層を越える鉛直移動が短時間ながら頻繁にみられた。摂餌に伴い腹腔内温度が一時的に低下することを利用して摂餌頻度・水深を推定した結果、彼らは様々な水深で活発に摂餌を行っていることがわかった。10月から11月にかけてほとんどの個体は南カリフォルニア湾から北方へと回遊し、モントレー沖の沿岸湧昇フロント付近で滞留した。この海域は表層付近の水温が低いため、クロマグロも表層を遊泳する傾向が強く、日出時と日没時にみられた鉛直移動を除けば50m以深への潜行頻度も低い傾向にあった。ここではクロマグロは主に水平移動を行いながら、フロント付近に集積しているカリフォルニアマイワシなどを摂餌しているものと推察された。これらの結果から、空間的な環境水温の鉛直構造の変化が本種の鉛直遊泳行動・分布を規定していることが分かった。以上の結果について、10月にハワイで開催された第13回PICES meetingで口頭発表を行った。 東部太平洋の鉛直構造や餌分布様式ならびにバイオマスと本種の遊泳行動との関係や生息環境が本種の体温生理に与える影響を調べるため、平成16年4月1日から9月7日までアメリカ、スタンフォード大・ホプキンス臨海実験所、バーバラ・ブロック博士の研究室に滞在し、逐次再捕され回収に成功した遊泳水深、環境水温、体温などの時系列データの解析も行った。
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Research Products
(1 results)