2003 Fiscal Year Annual Research Report
魚類のω-3型高度不飽和脂肪酸代謝における核内レセプターの機能解析
Project/Area Number |
03J10660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 秀裕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | トラフグ / ω-3高度不飽和脂肪酸 / Peroxisome proliferator activated receptor / 脂質代謝 / リポタンパク質 / アポリポタンパク質 / 必須脂肪酸 |
Research Abstract |
ω-3型高度不飽和脂肪酸(PUFA)は海産魚類の必須脂肪酸として働くが、その生理的な作用機構は不明である。近年、ω-3型PUFAが核内レセプターファミリーであるperoxisome proliferator activated receptor(PPAR)のリガンドとして働くことが明らかとなった。PPARは脂質代謝に重要な働きをもつことから、海産魚類ではω-3型PUFAがPPARを活性化させ、種々の代謝調節を行っている可能性が考えられる。そこで、本研究は水産上重要魚種であるトラフグを対象にPPARの機能解析を行うことを目的とした。 哺乳類のPPARにはα、βおよびγの3種類が存在する。トラフグにおいても同様に3種類のPPARが存在するが、トラフグPPARαでは2種類のアイソフォームが同定された。その中の一つは、脳および成熟した卵巣でのみ発現がみられたが、この結果は、トラフグPPARがすべての組織で発現し準というMaglichら(2003)の報告と矛盾した。現在、トラフグ両PPARの発現部位の詳細を解析中である。 また、トラフグPPARがω-3型PUFAをリガンドとするかどうかに疑問がもたれた。そこで、Kreyら(1997)のリガンド結合試験を習得するため、スイス・ローザンヌ大学において4週間、関連の実験を行った。現在、組み替えタンパク質を調製するためのベクターを構築中である。 血中の脂質運搬タンパク質であるアポリポタンパク質遺伝子がPPARにより発現変動することが報告されている。そこで、トラフグ・アポリポタンパク質遺伝子のcDNAクローニングを行い、発現部位を同定した。今後、種々のPPAR活性化剤などを用いて、トラフグ血中の脂質運搬に及ぼすPPARの役割を明らかとする。
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