2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10678
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
人見 研一 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 放射線 / 紫外線 / DNA損傷 / DNA修復 / 塩基除去 / 基質認識 / X-ray / 結晶解析 |
Research Abstract |
生命は損傷を受けたDNAに対して様々な修復機構をもつ。そのうちのひとつである塩基除去修復機構はバクテリアからヒトに至るまで保存されており、ほぼ共通のシステムをもつ。放射線や紫外線といった外的要因にヌクレオシド除去修復の欠損では重度の表現系が観察されるのに対して、塩基除去修復の欠損は比較的検出されにくい。しかし、近年の研究からヒトにおいては癌化との関連が報告されるようになった。本研究では塩基除去修復機構によるDNA損傷の分子認識及び、除去修復のメカニズムをX線結晶解析の手法を用い、分子レベルで理解することを目的とする。初年度である平成15年度は共同研究者である韓国Han博士、米国Cunningham博士より蛋白、遺伝子供与を受け、さらに所属先である大阪大学基礎工学部岩井教授らのグループによって合成された酸化損傷をもつDNAオリゴヌクレオシドを用い、古細菌由来の塩基除去修復蛋白(Endo IIIならびにOgg)との共結晶を得るに至り、結晶の基本的な性格づけを行なった。EndoIIIではフッ素を導入した非天然のThymine glycolアナログを含む13merのDNA鎖(岩井教授ら未発表データ)を用いて解像度2.9オングストロームの共結晶を得た。大腸菌由来のEndoIIIの構造を用いた同形置換法による構造決定が示唆されており、次年度においては完全な構造決定を行なう。Oggはこれまでの生化学的な研究から活性に関与されるとアミノ酸に変異を導入し、これら幾つかの変異体と8-oxo-guanineをもつ15merのDNA鎖との共結晶を得ている。蛋白質単体構造(米国Tainer博士ら未発表データ)をもとにEndoIII同様に同形置換法による構造決定をするに至る。
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