2004 Fiscal Year Annual Research Report
16-17世紀オスマン朝下の東アナトリアの権力と社会
Project/Area Number |
03J10728
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 久美子 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 東アナトリア / オスマン朝 |
Research Abstract |
夏期にはトルコ共和国アンカラ市にある地券・地籍簿総局古文書館、そしてイスタンブル市にあるトプカプ宮殿附属古文書館および附属図書館と総理府オスマン古文書館において史料収集を行うと同時に、関連する研究論文や研究書の調査をすすめ一部を収集した。 地券・地籍簿総局古文書館では、十六世紀後半から十七世紀前半に、基本的に県単位で作成された租税台帳(一部法令集付き)を閲覧した。租税台帳は検地の結果に即し記録された明細台帳と、明細台帳に基づいて徴税権をもつ軍人のリストとその収入財源について編集された簡易台帳に分類される。コピーやデジタルカメラ等による複写が許可されなかったため、閲覧した七冊の台帳の全頁(約千五百頁)を手書きで写した。トプカプ宮殿附属古文書館では、十六世紀に関してのみ研究が許可されたため、十六世紀に作成された上奏文や勅令を中心に閲覧した。当館でもコピーやマイクロフィルム等による複写が許可されていないため、閲覧した文書三十五枚を手書きで写した。トプカプ宮殿附属図書館では十六世紀から十七世紀の未刊行の年代記や「書簡集」とよばれる写本史料二十三冊の調査を行い、一部をデジタルカメラで複写・収集した。総理府オスマン古文書館では史料の修復・保存のために数年来閲覧不可能であった台帳を中心に約百二十冊閲覧し、東アナトリア地方の地方財務組織と辺境防衛組織について必要箇所を手書きまたはコピーにより複写・収集した。また、当館に所蔵の租税台帳はこれまで三分の一のみ複写が許可されていたが、台帳の全頁をCDに複写する新しいサービスが開始されたため、過去に手書きで複写していた台帳四冊をCDの形で収集した。 秋期以降は収集した文書・写本史料整理ののち、ローマ字転写、日本語訳、データベース化の作業を進め、現在研究論文を執筆中である。
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