2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10731
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 大地 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ロートレアモン / シュールレアリスム / パサージュ / マルドロールの歌 / フランス / 詩 / ロマン主義 |
Research Abstract |
7月に行ったフランスへのほぼ3週間にわたる調査旅行により、国立パリ図書館での文献調査で、ロートレアモンおよびシュールレアリスムに関する、20世紀初頭の雑誌資料および日本では閲覧の難しい書物の閲覧を実現した。また、同じ機会に、パリ第四大学のアンドレ・ギュイヨー教授、ナント大学のジャン・リュック・スタインメッツ教授と会見し、研究上の重要な示唆を受けることができた。その成果をまとめ、10月に北海道大学で行われた日本フランス語フランス文学会で、「水のパサージュ-『マルドロールの歌』における都市と変容」という題で発表し、審査の結果、同会機関紙に論文を発表する権利を得た。同誌は本年5月発刊予定である。以下、この論文の内容を要約する。 本論分では、第一に、ロートレアモンの都市表象において、人の流れを運ぶ道路が、あちらこちらで水の流れと交わっていることに着眼した。脱中心化され分割された近代都市におけるパサージュの景観と、『マルドロールの歌』は、この通路の交錯において結びつく。一方、水は、その半透明性と流動性によって、『マルドロールの歌』の世界を支配する変容の原理を明らかにするだろう。この水の流れを追ってゆくと、やがて議論は都市空間の枠組みを越え、作品中のもうひとつの重要なトポスである海岸へと導かれる。最終的には、都市の枠組みの只中に自然のイメージが呼び起こされるという、ロートレアモンの想像力の二重性を明らかにすることを目的として議論をすすめた。
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Research Products
(2 results)