2003 Fiscal Year Annual Research Report
「脱学校化」する若者の生活世界と公的関与の可能性-学校体験・社会階層・下位文化-
Project/Area Number |
03J10772
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新谷 周平 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フリーター / 地元 / 道具的機能 / 表出的機能 / 居場所 / 参画 / ユースワーク / 進路選択 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「脱学校化」する若者の生活世界を、学校体験、社会階層、下位文化との関係から描き出し、それに対する公的関与の必要性および方法を検討することである。 本年度は、第一に、若者の生活世界の把握として、フリーターを選択していく若者の参与観察およびインタビューを行った。とくに、中卒または学校ランクの相対的に低い高校卒のフリーターと、学校ランクの高い進学校卒のフリーターの比較から、地元への志向性の差異(非移動性・移動性)と、それぞれに対して学校外の場が果たす2つの機能(道具的機能・表出的機能)を見出した。当該インフォーマントに関していうと、学校ランクの低い若者層が、中学の同級生や先輩後輩を中心とした「地元つながり」に表出性(情緒安定)だけでなく道具性(生活手段獲得)をも求めているのに対して、学校ランクの高い若者層は、表出性の一部を「擬似地元」的なつながりに求めつつも、表出性・道具性を地元に限られないより広い人間関係に基づいて、ダンスイベントや結婚などに求めているといえる。公的関与にあたっては、職業意識の獲得等道具性の観点からのみでなく、その場が若者の情緒的安定の場となるための表出性の観点からも、その方法が考えられなければならない。 第二に、公的関与の可能性について、近年設置されつつある居場所提供型施設(岡山県、川崎市、杉並区)を視察した。これに関して、これまでの若者のための公的施設や行政事業のフィールドワークの知見をもとに、若者支援の方法と必要について論文にまとめた。 また両者について、外国のschool to work、ユースワーク関連文献の収集にあたった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 新谷周平: "フリーター選択プロセスにおける道具的機能と表出的機能"社会科学研究. 55巻2号. 51-78 (2004)
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[Publications] 新谷周平: "青少年は何を求めているのか?(仮)"青少年ボランティア活動推進者セミナーテキスト. (2004)
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[Publications] 新谷周平: "中高生世代と青年集団(仮)"地域青年運動構築21世紀委員会政策提言(仮). (2004)
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[Publications] 佐藤一子編: "生涯学習がつくる公共空間"柏書房. 287 (2003)
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[Publications] 子どもの参画情報センター編: "居場所づくりと社会つながり(仮)"萌文社. (2004)