2004 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス戦間期におけるモダニズム建築の受容にみられる特殊性
Project/Area Number |
03J10789
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊口 真衣子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イギリス / モダニズム / 伝統主義 / 戦間期 / 建築 / デザイン / ゴシック・リヴァイヴァル / 日英比較研究 |
Research Abstract |
イギリスにおける近代建築の受容とは何か、すなわちヨーロッパ大陸におけるモダニズムとは異なる、イギリスでのモダニズム受容におけるイギリス性とは何か、という問題提起のもと、20世紀初頭のイギリスの建築・デザインを様々な角度から分析し、提示した。上記に対し、1920年、1930年代の戦間期における近代建築の展開に注目した。研究方法として視覚史料、文献史料、インタビュー、実測調査等を幅広く取り入れ、近接諸分野との学際的研究の成果をふまえた上で建築学を位置づけ、政治、社会、文化的背景のなかに建築を位置づけた。 本研究は、根強い伝統主義からイギリスではモダニズムは定着しなかったとする従来の通説に再検討を加え、さらに伝統主義とモダニズムのあいだに歴史的断絶を想定する従来の研究が捉えることのできなかった問題について、建築空間の分析をとおして、歴史的連続性をみいだした。近代を研究するさいに、その前史である19世紀を視野にいれた研究をおこなうことにより、伝統主義とモダニズムとのあいだの歴史的連続性をあきらかにできるという視点から、ヴィクトリアン・ゴシックをも研究対象とし、その成果として指導教官の鈴木博之教授と共訳で『ゴシック・リヴァイヴアル』(クリス・ブルックス著、ファイドン、l999年)(鈴木博之・豊口真衣子訳、岩波書店、2003年8月)を出版した。また日英比較研究の観点から、日本における近代建築の発展をも研究した。 さらに鈴木博之研究室共同で『建築アンソロジー』(みすず書房、2005年)を出版予定である。またデヴィッド・ワトキン『英国のまなざし』(鈴木博之監訳・豊口真衣子訳、東大出版会)を準備中である。さらに現在、日本建築学会に論文を3本投稿中である。
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Research Products
(3 results)