2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10863
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 徹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 欧州統合 / 国内政治 / 政党政治 / 政党システム / 比較政治 / フランス / 西欧政治 |
Research Abstract |
本研究は、統合が進む欧州を題材として、この影響が国内統治構造、とりわけ政党政治に与える影響を考察・分析するものである。 このため、まず、「現代フランス政治における主権主義政党の生成と展開」(『ヨーロッパ研究』第2号)で、いわゆる「反欧州統合政党」に焦点を当てるとともに、フランス社会で存在する反統合運動を取り上げ、それらが国内政治でどのように定置しているのかを比較政治学的観点から分析を試みた。 ここで明らかになったことは、1、国内政治を規定している政治的クリーヴィッジ(亀裂)が、EU/欧州統合の争点と不整合を起こしており、2、他方で欧州統合を争点とする政党は、既存政党による争点管理および選挙制度を始めとする政治制度により、争点化することができず、3、ゆえに、根強い反欧州統合運動・感情が社会側に存在していても、政治的機会を与えられていない、ということである。特筆されるのは、他欧州諸国でも同様の事例がみられることだが、政党システムの周辺に位置する政党(極左や極右政党)がすなわち反欧州統合を主張するとは限らず、極めて国内政党システムの既存のフォーマットに影響を受けている点である。 この既存の政党システムのフォーマットがいかに生成され、どのように運営されているのかを解明したものが「フランス政党システムの展開」(『日仏政治学会報告書 現代フランスの政治・社会・外交』)である。ここでは、第五共和制の発足以降顕著なのは、フランス諸政党の社会側との紐帯の脆弱性と小選挙区二回投票制による強い遠心的傾向、そして政党主導による政治的亀裂の生成のあり方であった。以上がフランス政党システムの既存のフォーマットや機能であり、ここから欧州統合がなぜ十分に争点化されないかが明らかになった。 「フランス政党政治の『ヨーロッパ化』」(『国際関係論研究』第20号)は、アクターを仏社会党に絞り、欧州統合問題が、70年代から現代まで、政党組織および政党システムにどう影響してきたのかを政治史的に扱ったものである。
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[Publications] 吉田 徹: "現代フランス政治のおける主権主義政党"ヨーロッパ研究. 第二号. 75-100 (2003)
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[Publications] 吉田 徹: "フランス政党システムの展開"日仏政治学会報告書『現代フランスの政治・社会・外交-第二次シラク政権の課題と展望』. 9-27 (2003)
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[Publications] 吉田 徹: "フランス政党政治のヨーロッパ化"国際関係論研究. 第20号. 1-39 (2004)